現場の記事から作った解説

継電器試験の周期は何年ごとか 年次点検と3年サイクルの実際

公開 2026年9月14日出典 14(うち動画 1本)サイト監修:本田電気管理事務所
結論

継電器試験の周期は、多くの現場で年次点検に合わせた1年ごとが基本形になっています。毎年GWの時期に請け負う定期試験の記録[1]や、前年担当したリレーを1年ぶりに再び試験する記録[2]がその例です。一方、電力設備では単体試験と総合動作試験を3年ごとに交互に回すサイクルもあり[3]、自分の受託先では遮断器の注油と連動試験を3年に一度と決めている技術者もいます[4]。今回参照した記録では、需要家設備の年次点検に合わせる例[1][2]と、電力設備で3年ごとに交互に回す例[3]があり、現場や設備の位置づけによって周期の答えが分かれます。

実際の周期は1年か3年か 現場の記録から

もっとも多いのは年次点検とセットで実施する形です。ある技術者は毎年GWに受電盤と饋電盤の過電流継電器、地絡方向継電器、不足電圧継電器の試験を請け負っています[1]。別の記録では、規模の大きい受電設備の応援に9名で入り、担当した富士電機のAUTO-Vを前年と同じ受け持ちで、1年前の記憶をたどりながら試験しています[2]。同じ設備を1年ぶりに触るという書き方から、年1回で回っている現場の様子がうかがえます[2][1]。なお、独立後に年次点検を20回程度こなすうちにひととおりできるようになった、という記録もありますが[5]、これは複数の現場を回った件数であり、周期そのものを示すものではありません。

これに対し、電力会社側の保護継電器では、単体試験の3年後に総合動作試験、その3年後にまた単体試験、という交互のサイクルで回していたという記録があります[3]。つまり同じ「継電器試験」でも、需要家設備の年次点検と系統側の設備とでは周期の組み立て方そのものが違うということです。

3年という区切りを自主的に設けている例もあります。VCBの投入不良で当日慌てたくないという理由から、動作不具合が出ていなくても3年に一度は注油してから遮断器連動でOCR試験を行うと決めている記録です[4]。別の記録では、3年前に注油した1992年製の富士電機製VCBを、今回の年次点検で再注油しています[6]。周期は継電器単体だけでなく、遮断器の可動部の手入れと組み合わせて決められている場合があり、ここは現場や設備によって判断が分かれるところです。

周期の中で何をどこまで試験するか

試験項目は設備容量でおおむね決まります。小規模な事業場ではDGR試験が主で、少し大きくなるとOCR試験が加わる、という整理をしている記録があります[5]。同じ記録では、42kVAの事業場に戸上製のSOG制御装置、750kVAの事業場に三菱製の過電流継電器、高圧キャビネットにUGSがない場合はキュービクル側のDGR、という具体例が挙げられ、不足電圧継電器はあまり扱っていないとも書かれています[5]。3面体キュービクルの年次点検でSOG試験を行い、キュービクル側は51が1台とELRが2台だけだったため短時間で終わった、という記録もあります[7]

試験の中身は大きく動作電流を見る試験と動作時間を取る試験の2つで、200〜300%の故障電流を流して動作時間を測り、瞬時要素では30Aや40Aといった大電流を流して時間を取ります[8]。この電流を出すため、電源は2000W程度あれば不安なく試験できるとされています[8]。実際、内部抵抗の大きい旧型テスタでは1500Wクラスのポータブル電源で瞬時が出せず、2000Wクラスに替えても瞬時出力は使えなかった、という記録があります[6]。周期を決めるときは、その現場で何を何台試験するのか、電源と時間が足りるのかまで含めて考えることになります。

間隔が空いた設備で実際に出てくるもの

年次点検の応援で受電盤の51と67を試験した記録では、67の動作電流を全タップ測る仕様で、0.6A整定時の管理値が整定値±10%の540〜660mAのところ、524mAで動作してしまい範囲外になりました[9]。この技術者はすぐ不良と判断せず、整定ダイヤルを何度も回してみると改善することがよくある、としています[9]。ただし、回さないと直らないほど古くなっているのだから交換を推奨すべきだ、とも書いています[9]。動作値のずれは、そのまま更新判断の材料になるということです。

動作時間側で出てきた例もあります。前年の年次点検でOCR連動試験をしたところ遮断の動きが鈍く、動作時間にタイムラグが出た富士電機製VCBがあり、これがきっかけで注油に踏み切っています[6]。この設備では、3年前の注油から今回の再注油まで3年が空いています[6]。同じ技術者は自分の現場について、動作不具合がなくても3年に一度は注油してから遮断器連動でOCR試験を行うことにしていると書いています[4]。継電器そのものは正常でも、連動させて初めて遮断側の劣化が見える形です。

点検の間隔が空いた設備では、掃除の必要が出ることもあります。下請けでリレー試験だけを請け負った現場では、SOG制御箱の内部に埃が多く入っていたため、刷毛と電動エアダスターで清掃してから試験しています[10]。別の現場でもSOGの箱が埃だらけで刷毛掃除をしています[7]。前者の現場では、CTTの変成器側で相間にバリスタが入っているのが確認されましたが、古い施設で当時からの担当者がおらず、経緯は不明とされています[10]。停電作業や活線に近い作業を伴う確認は、現場の手順書と有資格者の判断に従って進めてください。

「不良」と報告する前に疑うこと

周期どおり試験しても、出た数値がそのままリレーの状態とは限りません。あるサブ変のOCR試験で、限時要素T=3Aの管理値2.7〜3.3Aに対して3.5Aという高い値が出た記録があります[11]。OCR側の表示は試験器3.0A出力に対し2.6Aと低く出ており、クランプメータで確かめると試験器の出力のほうが正しいと分かりました[11]。原因は、その日から使い始めたポータブル電源が出発時には60Hzだったため50Hzへ直しておいたのに、再び60Hzに戻っていたことでした[11]。持ち主がAC ON/OFFボタンを長押しして電源を入れる使い方をしており、その長押しが周波数の切替操作になっていたためで、気付かなければリレー不良の指摘を出すところだった、と振り返っています[11]。同じ記録では、操作していないのに50Hzから60Hzに変わってしまう個体の話も伝聞として挙げられています[11]

電流が流れずリレーが動かないときも、現場のリレーを疑う前に試験側を見るべきだとする記録があります[8]。クリップ同士を短絡してメーターが振れるか確認する、断線がないか見る、試験器のモードがOCRやDGR、電圧のどれになっているか確かめる、といった順序です[8]。経験上、試験方法の誤りが原因だったことのほうが多く、コードが刺さっていない、線が外れているといったケースがよくある、とされています[8]

新しい設備でも周期どおり試験する意味

周期の議論は古い設備の話に寄りがちですが、新しい設備でも試験して初めて分かることがあります。新設から1年ほどの自家消費発電設備で、オムロンの逆電力継電器K2ZC-K2WR-NTを試験した記録では、取説の単相入力の式から求めた整定0.25%時の動作電流10.3mA±10%に対し、何度やっても13.3mAで管理値に入りませんでした[12]。整定を0.5%に上げると26.6mAとほぼ倍で動作し、やはり範囲外でした[12]

この技術者は裏配線を一部外した状態から完全に単体に取り外して再試験し、試験器をRX47022から双興のDGR-1000KDとキーサイトのDMMの組み合わせに替えても同じ結果になることを確認しています[12]。進みと遅れそれぞれ位相30°での動作値を測って最高感度角も確認し、印加電圧を100V、110V、120Vと変えても動作電流は変わりませんでした[12]。ここまで検証したうえで本体の動作不良として報告していますが、1台に2時間程度かかっています[12]

一方、後日この話をした仲間からは、この機種は管理値内には入るが計算値ぴったりからは外れる印象がある、という声が返ってきており[12]、μAクラスの測定は校正していても不安定な領域という見方も示されています[12]。同じ数値をどう読むかは現場や技術者によって判断が分かれます。周期の中でこうした検証時間を確保できるかどうかも、実務上は無視できない要素です。

周期を組むときに現場で見ていること

作業時間の枠が周期と項目を決めることもあります。VCBの注油と動作確認を最優先にした年次点検では、決められた時間内に収めるため、リレー試験は遮断器連動での動作確認だけにとどめています[6]。4面体CB形キュービクルで1時間半程度の予定という記録もあり[13]、その日にできる範囲は最初から限られています。

天候や現場の造りも判断材料です。雨天の年次点検では、短時間の作業でブルーシートを張ると一仕事になるため張らず、車内に置いた試験器から30mの全要素コードを伸ばしてPASと過電流継電器を試験しています[13]。同じ記録では、試験器の取説に操作パネル側を上面にして設置するよう書かれており、横向きに置いて使うと火災につながる恐れがあると警告されていることに触れています[13]。側面前後の吸排気口が塞がることが理由だろうと受け止めたうえで、対象2台の短時間作業で通風もあるという条件から横置きで使ったとされていますが[13]、これは取説の警告に反する使い方であり、推奨できるものではありません。同じ記録でも、横置きで使うなら下に角材を2本入れるなどして吸排気口を塞がない配慮が要るとしています[13]。設置は取説の指定どおり操作パネルを上面にし、扱いは機器の取説と現場の判断に従ってください。別の現場では、受電盤裏に入らないと取れない27の接点を、数年前に線番を調べておいたことで前面だけの配線で完結させています[1]

試験方法を忘れないよう定期的に行わなければ、という記録もあります[14]。周期は設備を守るためだけでなく、試験する側が手順を忘れないための間隔でもあるということです。

現場で確かめること

  • 前回の試験がいつで、どの項目まで実施したか記録で確認する
  • 設備規模に対して試験対象がDGRのみか、OCRやRPR、27まで含むか整理する
  • 試験用電源の周波数設定と容量が、瞬時要素まで出せるか事前に確認する
  • 管理値を外れたら、まず試験器の出力・結線・モードをクランプ等で検証する
  • 整定ダイヤルの動作で改善した継電器は、改善しても更新候補として記録に残す
  • 遮断器の可動部の手入れ時期と連動試験の周期を合わせられるか検討する

実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。

よくある質問

Q.継電器試験だけを年次点検と切り離して依頼できますか

A.実際に、付き合いのある会社からの下請けで年次点検のリレー試験部分だけを請け負った記録があります[10]。3面体キュービクルの年次点検でリレー試験を請け負い、時間が余ったのでメガや接地抵抗測定、ハンドホールの水抜きまで手伝った例もあります[7]。分担して実施すること自体は現場で行われています。

Q.総合動作試験は毎回の周期に入れる必要がありますか

A.電力会社の送電線保護などでない限り総合動作試験モードは使わない、とする記録があります[3]。一方で同じ記録では、電力会社の制御通信課勤務時代は単体試験と総合動作試験を3年ごとに交互に回しており、ほとんどを総合動作試験で過ごしたとも述べられています[3]。設備の位置づけによって考え方が分かれます。

Q.管理値を外れたら、その場で交換と判断すべきですか

A.整定ダイヤルを何度も回すと管理値内に戻ることがよくあるため、すぐ不良とは判断しないという記録があります[9]。ただしそこまでしないと直らないのは古くなっている証拠なので、交換を推奨すべきだとしています[9]。逆に、試験電源の周波数が意図せず60Hzになっていたために高い値が出ていた例もあり[11]、試験側の検証が先になります。

Q.リレー試験の経験がないと電気管理技術者として独立できませんか

A.よほど特殊な試験でなければ大丈夫だ、とする記録があります[5]。会社員のまま休日や夜間に応援へ行って試験をやらせてもらう習得法が効率的とされ、実際に独立後、年次点検20回ほどでひととおりできるようになったとしています[5]。保安協会などで数年修業してから独立する人もおり、選択は人それぞれだとも書かれています[5]

Q.試験に使うポータブル電源で注意することはありますか

A.使い始めの電源が60Hzのままだったため、AC出力オフの状態で切替ボタンを長押しして50Hzに直した例があります[11]。ただしこの長押し自体が周波数の切替操作なので、同じボタンを長押しして電源を入れたことで60Hzに戻ってしまい、試験値に誤差が出ました[11]。操作していないのに60Hzへ変わる個体の話もあり、数日放置してバッテリー残量2%で使えず別機種で代用した例もあります[11][10]

出典(このページのもとにした記事・動画)

本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。

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