漏電箇所は、B種接地線や幹線を漏れ電流用クランプで測って漏れの大きい系統を見つけ、上流から分岐回路へ追い込み、最後にメガーで不良回路と不良箇所を絞る順で探します[1][2]。実例では、2Aが流れていた幹線からエアコン回路を絞り込み、0.02MΩの絶縁不良を確かめたうえで、室内機の中で傷んでいた被覆を見つけています[3]。出たり消えたりする間欠漏電は現地で測っても正常に見えることがあるため、ロガーで記録して系統を特定する方法がとられています[4][2]。
最初に確かめること:警報の中身と安全確認
ある事務所の記録では、漏電警報が鳴り止まないとの連絡を受けて絶縁監視装置の値を遠隔で確認したところ、発報するほどの電流は出ていませんでした[5]。現地でもトランスのB種接地線は18.1mAで、警報器の設定400mAには届いていなかったため、誤報と判断して復帰ボタンで警報を止めています[5]。
別の技術者は、漏電で盤が充電されている場合を考えて、触る前に検電しています[3]。その現場では漏電火災警報器が800mA設定にされ、LGRの電源ブレーカーも切られていたので、調査後に元の設定へ戻しています[3]。保安契約先が別にある需要家では管理責任が契約先にあるため、別の業者がキュービクルを開けることを事前に伝えてもらっています[3]。検電や停電の範囲・手順は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
クランプで漏れ電流を追う:B種接地線から分岐回路へ
一般に、漏電探査は停電せずに測れる漏れ電流用クランプから始め、測る場所を上流から順に狭めていきます。まずB種接地線で変圧器二次側より下流の漏れ電流の総量をつかみ、次に幹線を三相一括で挟んで上流から下流へ段階的に絞り込む手順が示されています[1]。定常的に漏れている場合は、分電盤の分岐回路まで追い込んでから、個別にクランプで測るか、ブレーカーを切って絶縁抵抗を測ります[2]。
ある現場で幹線ごとに測ると、動力33mA、電灯No.1が120mA、電灯No.2が2A(2000mA)でした[3]。No.1の値は他の系統の影響を受けたもので、本命はNo.2でしたが、オートレンジのクランプは表示の単位を見落としやすいと注意を促しています[3]。
フィルタ機能を使えばインバーターなどの高周波成分は除けますが、静電容量分は除けないので、抵抗分(Ior)だけを見るには専用のクランプリーカーが要るとされています[1]。Iorからは絶縁抵抗の見当がつき、200V回路でIorが10mAなら約0.02MΩとなり、不良の疑いが強いという目安が示されています[6]。一方で、フィルタを有効にした値の6割程度が絶縁に関わる漏れ電流だったという経験則を示す技術者もいます[7]。ただし6割は一技術者の経験値であり、抵抗分を確かめるには専用のIor測定器が必要とされています[1][7]。
回路を切り分けてメガーで絶縁抵抗を測る
分岐回路が1Pブレーカーで、停電させずに探すのが難しい分電盤の例があります。この現場では、健全な回路はすぐ戻すと説明して5分程度の停電の了承を得てからメガーで不良回路を特定し、健全回路はすぐに復電させています[8]。別の現場では、警備会社へ電源を切ることを連絡してもらってから測って0MΩを確認し、警備機器のコンセントを抜いて機器側か配線側かを見分けた結果、ブレーカーからコンセントまでの配線が悪いと判断しています[4]。
接地側の線で絶縁が悪くなっている場合は対地電圧がかからないため、クランプには漏れ電流がほとんど出ず、遮断器を開いて下流をメガーで測って初めて見つかることがあるとされています[1]。
電子機器はメガーの電圧で壊れることがあるため、切り離して測るのが理想とされていますが、コンセントが全部抜けているかを点検のたびに確かめるのは難しいとも指摘されています[9]。機器を守る目的で50V以下の印加電圧で測る方法は、技術基準に適合しないとされています[9]。漏電ブレーカーは、線間を測るなら電線を外さないと内部回路を傷めるおそれがあります[10]。インバーター単体を測る場合は、主回路端子の配線をすべて外して一括で短絡し、端子と大地の間に電圧をかけるとされています[10]。モーター単体を測るときは出力端子U・V・Wの接続を外してモーターだけで測り、モーター以外の周辺回路を測るときはインバーターにつながる配線をすべて外して、インバーターに試験電圧がかからないようにするよう示されています[10]。
現場の実例:器具や機器の中で被覆が破れていたケース
複数台のエアコンを更新してから漏電警報が出るようになり、施工業者の手直しで一度は収まったものの再発した施設の例です。契約中の保安法人も原因をつかめず、警報を切っただけになっていました[3]。2Aが流れる幹線からエアコン回路を絞り込んで0.02MΩの不良を確認し、室外機側は配線の色どおりで誤配線は無いと見て、室内機側を疑っています[3]。
室内機はカバーの外し方が分からず、取扱説明書をネットで探してから開けています。中では黒線の上に緑線が重なって被覆が潰れ、黒線の被覆まで破れていました[3]。配線を重ねたままカバーを無理に閉めたせいで、電圧側とアースが触れていたとみられます[3]。配線が重ならないよう整理し、傷んだ箇所をテープで応急的に補修したところ、電灯No.2は3mAまで下がりました[3]。一般に、機器内部で傷んだ被覆はテープ補修で済ませたままにせず、恒久的な修理は機器メーカーや施工業者に任せます。
3A強の漏れが出た別の現場では、不良回路の照明4台と換気扇1台を順に開け、配線を外してはメガーを当てても当たらず、最後に同じ回路の小さな蛍光灯を疑いました[8]。その配線を外して分電盤側から測ると絶縁抵抗が戻りました。器具の裏には焦げ跡があり、器具に挟まれた配線のテープが圧力で破れて充電部が触れていたと推測されています[8]。天井内の結露防止工事で打ったビスが配線を貫き、焦げていた例も報告されています[4]。
出たり消えたりする間欠漏電の追い方
間欠漏電は短い時間しか漏れないので、駆けつけて測っても正常に見え、ブレーカーを切ってメガーをかけても不良が出ないことがあります[2]。機械や人が動いたとき、床のコードを踏んだとき、雨の後だけ出る例のほか、霜取りタイマーで運転と停止を繰り返す冷凍機のヒーター故障が原因だった例が挙がっています[2]。変圧器ごとの漏電火災警報器の動作を記録して幹線を絞り、サンプリングの速いロガーか最大値を残せるロガーで瞬間的な漏れを捉えます[2]。
ある現場では夜間に絶縁監視装置から警報と復帰のメールが繰り返し届き、初回は関係のない変圧器の系統まで含めて3バンク分の警報が出ていました[4]。1バンクだけの警報になったところで主回路に3chの漏れ電流ロガーを仕掛けると、翌日に漏電が記録されて盤が分かりました。その後は連続漏電に変わったこともあり、想定より早く特定できています[4]。この技術者は、すぐ使える測定器を持ち、その場で使いこなせることが一番大事だと振り返っています[4]。
月次点検でB種接地線を測ると、ふだん5mA程度のところが100〜120mAになり、50秒ほどで収まってはまた漏れる現場もありました[11]。回線を追って押出機にたどり着き、従業員から以前から調子が悪かったと聞けています[11]。このサブ変電所は信号を無線で送る構成で、通信の遅れと絶縁監視装置の30秒遅延設定が重なり、発報に至っていなかったとみられています[11]。
現場で確かめること
- 遠隔監視の値、現地の漏れ電流、警報器の設定値を突き合わせる
- 盤に触る前の検電と停電範囲の了承は、手順書と有資格者の判断に従う
- クランプの表示単位(mAかAか)とフィルタ設定を確かめる
- 接地側の不良はクランプに出にくいので、疑わしければ停電してメガーで確認する
- メガーの前に電子機器、インバーター、漏電ブレーカーの切り離しを確認する
- 調査後に警報器の設定や電源を元に戻す
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
Q.漏電警報が鳴っているのに、測ると漏れ電流が小さいのはなぜですか?
A.誤報のこともあり、B種接地線が18.1mAで設定の400mAを大きく下回り、復帰操作で警報が止まった例があります[5]。一方で、間欠漏電は現地で測ると正常に見えることがあるため、ロガーで記録して見極めます[2]。
Q.IoクランプとIorクランプリーカーはどう使い分けますか?
A.Io測定のフィルタは高周波成分を除けても静電容量分は除けないため、抵抗分だけを見るにはIor測定器が必要とされています[1]。Iorは停電せずに測れ、200V回路で2mAなら約0.1MΩという換算で絶縁状態の見当がつきます[6]。
Q.メガーで機器が壊れることはありますか?
A.電子機器、漏電ブレーカー、インバーター、電子式電力量計などは、測り方によって破損するおそれがあると整理されています[9][10]。測定そのものではなく、低圧ブレーカーを開くときのサージで壊れた可能性も指摘されています[9]。
Q.高圧側で地絡継電器が動作してPASが開いたときも、同じ調べ方でよいですか?
A.同じ調べ方ではいけません。GR動作でPASが開いた後の高圧側の調査は、DC1000Vのメガーではなく、DC6000Vなどのハイボルトメガーで行うべきとされています[12]。DC1000Vのメガーでは10MΩと出た回路を、DC6000Vの絶縁抵抗計で測り直すとVCTが0Ωだった例があり、1000Vで異常なしと判断して再投入し、波及事故になった例が相次いでいるとされています[12]。再投入してよいかは、手順書に沿って有資格者が判断してください。不良が出た場合は、電力会社に連絡して対応を相談した例が示されています[12]。
出典(このページのもとにした記事・動画)
本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。
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- [2]間欠漏電とは?でんきメモ (memo-labo)
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- [4]間欠漏電対応3日間とある電気管理の位相 / 2026年4月13日
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- [6]I0rクランプリーカー・無停電状態で漏れ電流の抵抗成分測定でんきメモ (memo-labo)
- [7]ビル設備社員・基本作業(漏れ電流、メガ)電験・電気管理(denken333) / 2019年2月22日
- [8]アンペアクラスの漏電とある電気管理の位相 / 2025年10月14日
- [9]低圧絶縁抵抗測定で機器が故障する理由・50Vメガーでんきメモ (memo-labo)
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