現場の記事から作った解説

絶縁監視装置で隔月点検にできる条件と現場での実際の運用

公開 2026年9月16日出典 14サイト監修:本田電気管理事務所
結論

絶縁監視装置を設置し、所定の設備条件をすべて満たす信頼性の高い需要設備であれば、原則毎月の月次点検を隔月1回以上に緩和できます[1][2]。条件は装置の有無だけではなく、構外にわたる高圧電線路の有無、柱上変圧器の有無、責任分界点付近の保護装置の状況なども含まれ、外部委託している場合は保安規程に定めておく必要があります[1][2]。隔月化の前提になるのは常時監視と警報が出たときの応動体制で、漏れ電流が警報設定値(上限50mA)以上で5分以上続くと警報が出され、連絡責任者への連絡と必要に応じた速やかな点検が求められます[1][3]。漏れ電流が常時50mAを超える状態になった場合は、隔月から毎月へ戻すことになります[1]

隔月点検が認められる条件

高圧受電設備の点検は原則として毎月1回ですが、絶縁監視装置を取り付けることで隔月(2か月に1回)へ緩和できます[1][2]。ただし装置を付ければ無条件に認められるわけではなく、内規で示された設備条件をすべて満たす信頼性の高い設備であることが前提です[1]

内規の(1)は、設備容量100kVA以下(小規模高圧需要設備を除く)または低圧受電の需要設備について、アからオまでの設備条件すべてに適合する場合に隔月1回以上としています[1]。アからオの中身は、構外にわたる高圧電線路がないこと、柱上に設置した高圧変圧器がないこと、キュービクル内のものを除く高圧負荷開閉器に可燃性絶縁油を使っていないこと、責任分界点またはこれに近い箇所に地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器か地絡遮断器があること、責任分界点から主遮断装置の間に定められた計器用・保護用などの変成器以外がないこと、という内容です[1]

(3)はこれとは別枠の扱いで、同じアからオを満たす信頼性の高い設備に絶縁監視装置を備えている需要設備なら、2か月に1回以上の点検でよいとされています[1]。こちらには容量の上限が挙げられていません[1]

保安管理業務を外部委託している場合は、点検頻度の省略について保安規程に記載しておく必要があります[2]。なお受電電力50kW未満の小規模高圧需要設備は3か月に1回まで省略できるとされており、隔月化とは別の枠組みです[2]。点検報告書の保存期限は3年間です[2]

何を監視していて、警報が出たら誰がどう動くのか

監視の対象は、変圧器2次側の低圧電路からB種接地線を通って流れる漏れ電流です[1]。このうち対地静電容量に起因するI0c分を除き、絶縁抵抗の低下で流れるI0r分を的確に捉えることが求められ、検知箇所は原則として変圧器のバンクごととされています[1]。I0r方式では高調波をカットした基本波から演算し、製品によってはI0、基本波のI0、I0r、I0cを併せて表示します[1]。電路に微弱な低周波電圧を注入して中性線を含む全電路を監視するIgr方式もありますが、負荷の稼働状況によって強いノイズが出る場合は正常に監視できないことがあります[4]

警報は、漏れ電流が警報設定値以上で5分間以上流れ続けたときに発せられます[1][3]。装置はトランスの温度異常、停電、漏電を検知して、センターや担当技術者へ24時間リアルタイムで通知し、通知内容を確認して対応が必要と判断されれば保安業務担当者が現場へ向かいます[1]

警報が出たときの動きは、まず電気工作物の連絡責任者に連絡して設備の状態を確かめ、必要に応じて速やかに点検を行う、という流れです[1][3]。連絡責任者は設置者が選任し、常時設備を管理して保安上必要な事項を委託先へ連絡する役割を担います[3]。担当者の主たる連絡場所は事業場へ2時間以内に到達できる場所にあることが求められます[3]。漏れ電流が常時50mAを超えるようになった場合は、隔月から毎月へ点検頻度を戻さなければなりません[1]

隔月の点検日に技術者が実際に見ていること

ある技術者の記録では、キュービクルに入ってまず行うのが絶縁監視装置のテストボタン操作で、信号が正しく飛ぶかを確認しています[5]。このときテスト送信された漏電電流値がエラーらしい数字だったため、念のためクランプで実測し、動力側で23.1mAという値を記録に残しています[5]。クランプを挟みにくい配置だと記録のしかたに一手間かかることが分かる例です[5]

別の現場では、外部接点を拾うために絶縁監視装置の隣へ無線受信機を置いています[6]。少し離れたサブ変には通信機能を持たない漏れ電流監視装置があり、その接点のON/OFFを無線送信機が受信機側へ飛ばす形です[6]。点検の際は接点を短絡し、警報メールが届くかどうかを確かめています[6]。装置を2台導入すると通信費が二重になるため、この構成で費用を抑えているとのことです[6]

測定の考え方は現場で分かれます。通常の月次点検では各変圧器のB種接地線でIoを測り、Iorは絶縁監視装置の測定値で低圧回路の絶縁状況を管理したうえで、4月と10月の年2回だけIorリークテスターでIoとIorを実測し、監視装置の値と突き合わせて妥当性を確認している例があります[7]。この現場では高圧コンデンサーの電流測定と平衡度の確認も年2回行い、異常時の判定材料にしています[7]。一方、漏電箇所を絞る場面では、I0cが混ざるI0クランプではなくI0rクランプリーカーを使い、B種接地線ではなく下流のMCCBを個別に測って当たりを付ける方法が挙げられています[2]。どちらを標準にするかは設備や技術者によって判断が分かれます。

隔月訪問ならではの事情もあります。2か月に1回しか顔を出さないため、客先で「誰なのか、許可は取っているのか」と聞かれることがある、という声が残っています[5]

実例1 モーターの内部地絡で早朝に通報が入ったとき

ある技術者の記録では、朝7時前に絶縁監視装置から漏電通報が入り、動力変圧器のIorが1Aを超えていました[8]。他の変圧器も引きずられる形でIorが増大し、そちらでも警報が出ています[8]。1Aを超える値は放置できないと判断して緊急出動を決めていますが、24時間稼働の事業場だったため、移動前に担当者へ電話し、怪しい機器がないか調査を依頼しています[8]

現場に着いた時点で怪しい箇所の目星が付いており、その制御盤で絶縁抵抗を測定したところ、担当者が見つけたマグネットの異常に関係するモーター回路が0MΩでした[8]。回路を切り離してモーターコイルをメガーで測ると2回路が0MΩで、内部で地絡と短絡が起きていると判断されています[8]

この機械はモーター3台で運転するもので、故障は1台だったため、当面は健全な2台で運転できないかを依頼し、予備品がないことから修理と部品手配をメーカーと調整してもらう形になりました[8]。到着前に現場側へ調査を依頼したことで不良回路の特定が早まった、という点がこの事例の要点です[8]。なお絶縁測定や回路の切り離しは活線に近接する作業を伴うため、実施の可否と手順は現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

実例2 すぐ消える間欠漏電に3日がかりで対応した記録

別の技術者の記録では、2026年3月23日の夜間に絶縁監視装置から警報メールが届き、過度な漏電の影響で関係のない変圧器回路まで巻き込まれ、電灯3バンク分の警報が出ました[9]。漏電はすぐ収まって復帰メールも届いたため、その時点ではキュービクル側の警報復帰方法を客先へ伝え、様子を見る対応にとどめています[9]

1週間ほど後の3月31日、再び夜間に警報と復帰を繰り返す間欠漏電が起き、客先担当者からの連絡を受けて探査が必要と判断し訪問しています[9]。このときは1バンクのみの警報だったため、可能性のある主回路から探査を始め、3chの漏れ電流データロガーを1台仕掛けました[9]

翌日には漏電が発生してロガーに記録され、まず漏電している盤が特定できました[9]。それでも漏電がすぐ消えてしまうため、さらにロガーを仕掛け直す流れになり、最終的に間欠漏電が連続漏電へ移行したことで、覚悟していたより短期間で探査を完了できたと記されています[9]。警報が出ても現地で再現しない間欠漏電では、常時記録を残す機器を仕掛けて待つ判断が有効だった事例です[9]

装置そのものの取付位置・寿命・動作試験

隔月運用を支えるのは装置が正常に働き続けることです。南向きで一日中日が当たるキュービクルでは内部温度の上昇が見込まれるため、絶縁監視装置が熱劣化しにくいよう取付位置を下げた例があります[10]。位置を下げると試験ボタンの蓋がやや開けにくくなりますが、操作は2か月に1回なのでこの位置で使ってみる、という判断をしています[10]。以前は扉に貼り付けていたものの扉が高温になるため内部へ移した現場もあり、天井換気扇の故障で内部温度がさらに上がっていたことから、取付位置はできるだけ下げた方がよいと結論づけています[11]

寿命とコストの話も残っています。故障した装置をメーカーへ送ったところ、製造後5〜6年経過しているため修理より一式取替えを勧められ、新品を発注しています[11]。結局どこが故障したのかは不明のままでした[11]。さらに契約を廃止すると支払い済みの通信費が次の装置に充当されず戻らなかったため、残額が多いなら修理を検討する余地がある、という指摘もあります[11]。会社によっては途中廃止で返金がある点も挙げられています[11]

動作試験のやり方は現場で分かれます。年次点検の作業終了後、受電してブレーカー投入前に可変抵抗で人工的に地絡させ、動作漏れ電流値45〜55mAの範囲を1mA単位で読み上げながら警報ランプの点灯点を確認している例があります[12]。無負荷の状態であれば検出方式を問わずクランプによる漏れ電流測定で試験は成立しますが、負荷がかかった状態で行う場合は絶監CTの近くにIorクランプや活線メガなどを当てた方が読み取り値が安定するとされています[12]。クランプと装置が離れていて読み取りにくい問題には、Bluetooth対応の測定器とスマホアプリで手元に数値を飛ばし、動作時に値を保存して報告書作成に使う方法が紹介されています[13]

取付時には動力回路の位相設定を行い、Ior電圧アダプタの三相電圧入力を接続しますが、充電中のブレーカー端子にクリップを噛ませるのは危険であり、非接触で電圧入力できるようになってほしいという声が出ています[14]。活線に近接する作業になるため、実施可否と手順は現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

現場で確かめること

  • 構外にわたる高圧電線路、柱上変圧器、分界点の保護装置など、アからオの設備条件をすべて満たしているか[1]
  • 外部委託の場合、点検頻度の省略が保安規程に記載されているか[2]
  • 警報設定値と継続時間の設定、検知が変圧器バンクごとになっているか[1]
  • 連絡責任者が選任され、警報時の連絡先と2時間以内の到達体制が確保されているか[3]
  • 点検時にテストボタンや接点短絡で通報が実際に届くか確認しているか[5][6]
  • キュービクル内の温度上昇を踏まえた取付位置か、装置の経過年数を把握しているか[10][11]

実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。

よくある質問

Q.絶縁監視装置を付ければ必ず隔月点検にできますか

A.できません。構外にわたる高圧電線路がない、柱上に設置した高圧変圧器がない、キュービクル内のものを除く高圧負荷開閉器に可燃性絶縁油を使用していない、責任分界点またはこれに近い箇所に地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器または地絡遮断器がある、責任分界点から主遮断装置の間に所定の変成器以外がない、というアからオの設備条件すべてに適合する信頼性の高い設備であることが前提です[1]。設備容量100kVA以下(小規模高圧需要設備を除く)または低圧受電という枠組みは、装置の有無によらず隔月1回以上とされる(1)の側の条件です[1]。外部委託の場合は保安規程への記載も必要です[2]

Q.警報が出たら必ず現場に出動するのですか

A.まず連絡責任者へ連絡して設備の状態を確かめ、必要に応じて速やかに点検を行うのが基本です[1][3]。動力変圧器のIorが1Aを超えた事例では即座に緊急出動を決め、移動前に客先担当者へ怪しい機器の調査を依頼しています[8]。一方、夜間に警報が出てすぐ復帰した間欠漏電では、その場はキュービクル側の復帰方法を伝えて様子を見る判断をした例もあります[9]

Q.漏電が続いている場合、隔月のままでよいのですか

A.漏れ電流が常時50mAを超えるようになった場合は、点検頻度を隔月から毎月へ変更しなければなりません[1]。警報は漏れ電流が警報設定値(上限50mA)以上で5分間以上継続したときに発せられます[1][3]

Q.絶縁監視装置が表示する値はそのまま信用してよいですか

A.実測と突き合わせている現場があります。通常の月次はB種接地線のIoを測り、Iorは監視装置の値で管理したうえで、4月と10月の年2回だけIorリークテスターでIoとIorを実測し、監視装置の値と比較して妥当性を確認している例です[7]。またテスト送信された数値がエラーらしいときにクランプで実測し直した記録もあります[5]

Q.隔月点検にすると費用はどうなりますか

A.示されている見積り例は毎月点検を前提としたものです[2]。300kVAのPF-S型・PAS設備では1回分が税別11,000円で、内訳は点検費8,000円、機器使用代2,000円、交通費1,000円、1年契約なら12回で132,000円と見込まれています[2]。非常用発電機1台やサブ変ありの場合は、それぞれ1,500円が加算されます[2]。また絶縁監視装置を2台設置すると通信費が2倍かかるため、無線送信機で1台にまとめてコストを抑えた例もあります[6]

出典(このページのもとにした記事・動画)

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  1. [1]絶縁監視装置とは?設置基準、仕組み、メリットでんきメモ (memo-labo)
  2. [2]月次点検とは?点検内容、見積り金額でんきメモ (memo-labo)
  3. [3]緊急応動でんきメモ (memo-labo)
  4. [4]Igr方式とは?電路に低周波監視電圧を注入する絶縁監視方法でんきメモ (memo-labo)
  5. [5]電気管理技術者の日常~月次点検編1でんます / 2022年1月12日
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