6.6kV系の高圧設備では、最大使用電圧6,900Vを1.5倍した交流10,350Vを10分間加えます[1][2]。ケーブルについては、その2倍にあたる直流20,700Vでの試験も認められています[3][4]。試験前には静電容量を測って充電電流を計算します。試験器の容量が足りない場合は、リアクトルで充電電流を打ち消します[5][1]。試験中に試験器が止まる「抜け」は、新品の機器でも起きた例があります[6]。
手順の全体像と前後の絶縁抵抗測定
試験電圧と時間:交流10,350V・直流20,700V
6.6kV系の最大使用電圧は、6.6kVに1.15/1.1を掛けた6.9kVです[1]。最大使用電圧は、配電用変圧器の送り出し側の最高タップ電圧を指します[2]。7,000V以下の電路では、最大使用電圧を1.5倍した電圧を10分間かけます[1][4]。この計算から、試験電圧は交流10,350Vになります[1][2]。
ケーブルを使う交流電路では、試験電圧の2倍の直流を10分間加える方法も認められています[4]。この場合の直流の試験電圧は20,700Vです[3][8]。直流の試験では漏れ電流だけが流れるため、試験電流がごく小さく収まります[3]。そのため、静電容量の大きい長いケーブルでも試験しやすくなります[3]。
ある技術者は、解釈の条文を読み直し、開閉器なども直流に置き換えられると理解しました[8]。そのうえで、実績のある高圧ケーブル以外は直流にしないと決めています[8]。一方で、直流は実際の波形と違うため、交流より信頼度が低いとする整理もあります[9]。直流をどこまで使うかは現場や設備によって判断が分かれ、主任技術者の判断に委ねられます[8]。
静電容量の測定とリアクトルの段取り
試験の前に、被試験物の対地静電容量を測ります[1][2]。PAS・UGS・DS・VCB・LBS・PCをすべて投入し、3相を銅線などで短絡してから測定します[1][2]。静電容量を測れるテスターで値を取り、その値から充電電流を計算します[1]。
被試験物には進み電流が流れ、並列に入れたリアクトルには遅れ電流が流れます[5]。その結果、トランス2次側の電流は、充電電流からリアクトル電流を引いた値に減ります[5]。計算例では、充電電流280mAから補償分200mAを引き、2次電流は80mAになります[5]。昇圧トランスが1:100なら1次電流は8Aとなり、15A程度の試験器に収まります[5][10]。
リアクトルには容量の1割ほどの損失があるため、並列に足すほど得になるわけではありません[5]。試験中は、リアクトルのL端子とE端子を開放しておきます[5]。定格近くで何度も使ったときや気温が高いときは、空気抜きのナットを緩めます[5]。ナットは、使い終わったら締め忘れないようにします[5]。
結線と昇圧で気をつけること
ある試験器は高圧出力のクリップが1つなので、3相一括でかけるには短絡線を別に用意します[10]。VT・CT・変圧器は、2次側をすべて短絡して接地し、筐体もアースにつなぎます[6]。2次側を接地しないと、1次と2次の間の耐圧を確かめられません[6]。PASやUGSのVT内蔵タイプでは、3相短絡をしないとVTが焼損するおそれがあります[2]。
DGRにZPDがつながったままでは、継電器に過大な零相電圧がかかるおそれがあります[6]。ある記録では、DGR側のY1・Y2を外して分離する方が安全だとしています[6]。ただし、実際の現場での対応状況は記録の中でも分かっていません[6]。
ある解説は、試験前にアースの接続を確認するよう勧めています[7]。アースが外れていると、充電電流の異常や2次側の異常電圧が起きるおそれがあります[7]。昇圧は一気に行わず、様子を確かめながら少しずつ上げる方法が推奨されています[7]。直流の場合は、開閉器に内蔵されたアレスタの放電開始電圧を超えると焼損の原因になります[3]。一般に、立入禁止の範囲や監視の方法は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
現場の実例:試験器が止まった(抜けた)とき
10分間の試験中に試験器が急に止まる現象を、現場では「抜ける」と呼びます[1][6]。ケーブルの傷などから放電して大電流が流れ、試験器の保護回路が働きます[1][6]。
ある技術者の記録には、試験が止まった例が4つあります[6]。CVケーブル端末の施工不良では、耐圧中に煙が出ました[6]。中古の変圧器は試験前の絶縁抵抗が50MΩ程度で、耐圧中に本体が膨らみました[6]。新品の変圧器に交換する工事でも試験が止まり、メーカーに返送して調べました[6]。中古の引込ケーブルは10,350Vで抜け、その後の絶縁抵抗が大きく下がっていました[6]。
4つの事例から、メーカーの試験成績書があっても現地で合格する保証はないと分かります[6]。交流耐圧は、試験中にケーブルの弱点を劣化させるおそれもあります[9]。中古ケーブルについては、主任技術者の判断で7,000Vに下げて試験したという話もあります[6]。ただし、7,000Vは6.6kV系の規定の試験電圧10,350Vに届きません[1][2]。
リアクトルを足しすぎて試験器が止まった例もあります[11]。充電電流800mAに対して補償は700mAで、差は100mAでした[11]。1次電流はトランス分の10Aに損失分の7Aが加わって16Aを超え、試験は続けられませんでした[11]。この事例を書いた技術者は、損失の計算と事前の試験要領書づくりを勧めています[11]。
放電と復旧
現場で確かめること
- 開閉器をすべて投入し、3相を短絡して静電容量を測ったか
- 充電電流と試験器の定格、リアクトル損失を計算したか
- VT・CT・変圧器の2次側と筐体を接地したか
- DGRとZPDの配線をどう扱うか決めたか
- アースの接続を確かめ、少しずつ昇圧したか
- 短絡線を外し、切り離した配線を元に戻したか
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
Q.耐圧試験に合格すれば、ケーブルは長く使えますか?
A.交流耐電圧試験は判定基準が明白ですが、合格しても長期の寿命は保証されないと整理されています[9]。試験の電圧で弱点を傷めるおそれもあります[9]。
Q.直流耐圧試験の良否はどう判定しますか?
A.ある記録では、漏れ電流の時間変化と成極比で判定します[3]。成極比は1以上で良、0.5〜1で要注意、0.5以下で不良です[3]。最後の漏れ電流が1分値より大きい場合は、危険な状態と見なします[3]。
出典(このページのもとにした記事・動画)
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- [1]耐圧試験(絶縁耐力試験・耐電圧試験)AC10350Vの根拠でんきメモ (memo-labo) / 2021年12月15日
- [2]vtest3でんきメモ (memo-labo) / 2026年10月8日
- [3]直流耐圧試験の方法、判定基準、メリットでんきメモ (memo-labo)
- [4]高圧受変電設備の充電電流について保安電気管理 / 2025年4月8日
- [5]耐圧試験用リアクトル(充電電流打ち消し・補償リアクトル)でんきメモ (memo-labo)
- [6]耐圧試験上の注意、事故、試験機ストップ(抜ける)中古ケーブルでんきメモ (memo-labo)
- [7]特別高圧、高圧受電設備の耐圧試験について解説保安電気管理 / 2025年4月8日
- [8]直流耐圧含め現地耐圧試験は主任技術者の判断次第とある電気管理の位相 / 2025年11月16日
- [9]高圧ケーブルの保守・点検方法佐近電気管理事務所
- [10]『電気主任技術者』はじめての絶縁耐力試験。ゆうじの「電気保安の学校」(YouTube) / 2021年5月18日
- [11]絶縁耐力試験におけるリアクトル追加電気管理技術者の交流掲示板 / 2022年6月18日
- [12]ある電気管理技術者が高圧ケーブル耐圧試験をしたよ 片側接地と両端接地の電流(電気主任技術者)こんな僕でも電気管理技術者(YouTube) / 2021年2月23日
- [13]絶縁耐力試験電気管理技術者の交流掲示板 / 2023年11月3日