現場の記事から作った解説

耐圧試験の接続方法|課電点・接地・リアクトルの結線と現場の失敗例

公開 2026年11月4日出典 15件(うち動画 2本)監修:本田電気管理事務所(電気管理技術者)
結論

耐圧試験は、三相を短絡した主回路に課電し、機器の二次側と筐体を接地してつなぎます[1][2]。ケーブルの遮へい層も接地側につなぎ、絶縁層に電圧がかかる状態にします[3][4]。充電電流が試験器の容量を超える場合は、補償リアクトルを被試験物と並列に入れます[2][5]。内蔵VT・LA・SOG制御装置・DGRは処置を誤ると壊れるため、事前の確認が欠かせません[1][3]。

試験器・試験用変圧器・リアクトル・kV計のつなぎ方

一般に、試験器で調整した電圧を試験用変圧器で昇圧し、課電点へ送る流れで結線します。補償リアクトルは、被試験物と並列になる位置につなぎます[2]。対地静電容量が大きいと見かけの電流が増え、試験器や電源の容量が不足するためです[2]。動画で紹介された試験器は15Aが上限で、超える試験ではリアクトルを足すと説明しています[2]。容量の大きい設備では、リアクトルを複数台つなぐ場合もあります[2]。

ある技術者は、試験器と試験用変圧器のセットを校正したときに、専用コードを使わない接続を試しています[6]。試験器はOCRモードの電流50Aレンジを手動で設定し、電流出力端子を一次側U・V端子へつなぎます[6]。一次側に103.5Vをかけた結果、二次側は10.440kVでした[6]。充電電流は、0V–E間に電流計を足すか、0V–E間を短絡して接地線をクランプ計で測ります[6]。リレー試験器のOCRモードを流用した校正用の方法なので、現場の耐圧試験では専用コードと取扱説明書どおりの結線を使ってください。

kV計の表示が何を測っているかも、結線前に確かめたい点です[7][6]。双興製の試験器は、耐圧モードでは試験用変圧器の1:1測定端子の電圧を表示します[6]。ある技術者は、一次電圧で見る機種と二次タップで見る機種があると注意を促しています[7]。理想はVTによる測定で、印加電圧の誤差に注意して試験します[7]。

課電点と接地の取り方

課電点は、PAS・VCB・LBS・DS・PCなどを投入し、三相を短絡した主回路です[2][5]。VT・CT・変圧器は、二次側をジャンパー線でまとめて短絡し、接地へ落とします[1]。機器の筐体の金属部も、同じように接地側へつなぎます[1]。二次側を接地しないと、一次と二次の間の絶縁が試験できません[1]。

ある解説は、アースが未接続なら耐圧を行う意味がなくなると強調しています[8]。未接続のまま課電すると、充電電流の異常値や二次側の異常電圧を招くおそれがあります[8]。同じ解説は、電圧を少しずつ上げて様子を見ながら進めるよう勧めています[8]。一般に、接地や放電の手順は設備で異なるため、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

高圧ケーブルの三相一括と遮へい層の扱い

各相に遮へい層があるCVTは、三相一括を課電側にして遮へい層を接地側にします[9]。ある事務所の資料は、各心遮へいケーブルなら線間の試験は不要と整理しています[10]。遮へいが三心一括のCVでは、三心一括の課電だけだと相間の絶縁が試験できません[9]。

ある事務所の資料は、大地間を三心一括で、線間を三組それぞれで課電する方法を定めています[10]。ある技術者は、3kV CVケーブル単体の場合について、課電を二回に分ける方法を予想として示しています[9]。一回目はRとSを短絡し、Tと遮へい層を接地側にして課電します[9]。二回目はSとTを短絡し、Rと遮へい層を接地側にします[9]。実際の印加方法は、現場の手順書に従ってください。

遮へい層は、キュービクル側や電気室側で接地に落とします[4]。PASやUGS側では三相をまとめず、相ごとに浮かせてテープで絶縁しておきます[4][11]。ある技術者は、遮へい層が未接地のまま課電した場合を考察しています[3]。未接地では芯線にしか電圧がかからず、充電電流も流れないという見立てです[3]。試験後に遮へい層の接地を戻し忘れると、静電誘導で感電するおそれがあります[4]。

外すもの・短絡するもの(内蔵VT・LA・SOG・DGR)

VT内蔵のPASやUGSは、三相のうち二相が内蔵VTの一次側に配線されています[1][3]。一相だけに課電すると、充電電流が内蔵VTに流れて焼損するおそれがあります[1][3]。内蔵VTは容量25VA程度で、一次側の定格電流も3.8mA程度しかありません[3]。焼損したVTに気づかずPASを投入し、相間短絡で爆発した例もあります[1][3]。

LA内蔵型PASは、AC12kV以上をかけると避雷器が動作して壊れます[1][3]。直流で試験する場合も、DC17kV以上をかけると避雷器が動作して壊れます[1][3]。試験器の容量が足りないと出力が歪み、波高値が異常に上がることがあります[1][3]。

SOG制御装置は内部に避雷素子があり、端子間に電圧がかかると故障する場合があります[1]。制御線P1・P2は外して一本ずつ絶縁し、ほかの制御線は一括短絡して接地します[3][12]。ZPDのY1・Y2線がDGRにつながったままだと、DGRに過大な零相電圧がかかるおそれがあります[1][3]。ある技術者はDGR側でY1・Y2を外し、ZPDと切り離す方が安全としています[1][3]。ただ同じ記録には、実際の現場でY1・Y2まで外しているかは不明との注記もあります[1]。

現場で起きた失敗と対応

ある技術者は新設現場で、耐圧の前に高圧ケーブルの遮へい層の絶縁抵抗を測りました[13]。遮へい線を端子から外して測ると、値はゼロでした[13]。調べると、PAS側の遮へい線がアングル材に触れていました[13]。技術者は電柱に登って遮へい線を離し、テープで絶縁しました[13]。500Vと1000Vの絶縁抵抗計で良好を確かめてから、耐圧試験に進んでいます[13]。

別の技術者は竣工検査で、PAS・引込ケーブル・キュービクルを一回で試験しました[12]。CVT60sq約50mと1600kVAのキュービクルは、LCRメータの一括測定で98nFでした[12]。計算上の充電電流は319mAで、300mA分のリアクトルを入れて臨みました[12]。結果は全体で320mAで、試験用変圧器が34mA、リアクトルが315mAでした[12]。技術者は、課電後に容量不足でやり直すより一回で決めたいと述べています[12]。以前のテスターは値が安定しないことがあり、技術者はLCRメータに替えました[12]。

課電中のジジジという音は、ボイドの部分放電や角部のコロナ放電で出る場合があります[3]。ある技術者は、放電音の増大や異臭・発光があれば中断して放電し、結線を見直すとしています[3]。キュービクル全体が共鳴し、振動と音を出していた現場もありました[3]。

現場で確かめること

  • 開閉器類が投入され、三相が短絡されているか
  • VT・CT・変圧器の二次側と筐体が接地されているか
  • 遮へい層が受電側で接地され、PAS側で絶縁されているか
  • 内蔵VT・LA内蔵型の有無と印加電圧の上限
  • SOGのP1・P2離線、ほかの制御線の一括接地、DGRのY1・Y2
  • 事前の静電容量測定とリアクトル容量、kV計の測定点

実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。

よくある質問

Q.耐圧試験で補償リアクトルが必要になるのはどんなときですか?

A.ケーブルが長いなど対地静電容量が大きく、充電電流が試験器の容量を超えるときです[2][5]。ある技術者は事前に静電容量を測り、計算した充電電流に合わせてリアクトル容量を選んでいます[12]。

Q.高圧ケーブルの遮へい層はPAS側でも接地してよいですか?

A.ある技術者は、PAS側やUGS側では接地せず、受電側だけで接地する扱いを示しています[4]。PAS側で接地すると、遮へい層の絶縁測定に電柱へ登る必要が出ます[4]。両端接地では運用時に不具合が出る可能性も指摘されています[4]。

Q.直流で耐圧試験をするときの注意点は何ですか?

A.直流の試験電圧は交流の2倍になり、開閉器内蔵のアレスタの放電開始電圧を超えると焼損の原因になります[14]。試験後は電荷が残るため、接地棒での放電と直流用検電器での確認を行います[14][15]。具体的な手順は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

Q.6600V受電の試験電圧と印加時間はどれくらいですか?

A.公称6600V系統では、最大使用電圧6900Vの1.5倍にあたるAC10350Vを10分間かけます[5]。ケーブルを使用する交流の電路では、交流の2倍にあたるDC20700Vで試験する方法も認められています[14][10]。LA内蔵型PASなどがつながったままではDC20700Vをかけられないため、切り離しの要否を確認してください[1][14]。

出典(このページのもとにした記事・動画)

本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。

  1. [1]耐圧試験上の注意、事故、試験機ストップ(抜ける)中古ケーブルでんきメモ (memo-labo)
  2. [2]『電気主任技術者』はじめての絶縁耐力試験。ゆうじの「電気保安の学校」(YouTube) / 2021年5月18日
  3. [3]耐圧試験(絶縁耐力試験・耐電圧試験)AC10350Vの根拠でんきメモ (memo-labo) / 2021年12月15日
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