現場の記事から作った解説

停電作業のKYで洗い出す危険と打ち合わせ項目|現場の実例から

公開 2026年9月25日出典 14件(うち動画 4本)サイト監修:本田電気管理事務所
結論

停電作業前のKYでは、まず停電範囲、作業の分担、予備発電装置や第三者作業の有無を全員で確かめます。そのうえで、遮断器を操作する人、検電する人、短絡接地を取り付ける人を声に出して決めておくことが基本とされています[1][2]。洗い出す主な危険には、太陽光発電や蓄電池、仮設電源からの逆送電[3]、ケーブルやコンデンサの残留電荷[4]、充電範囲の取り違え[5]、復電時の短絡接地器具の外し忘れ[6][7]などがあります。外し忘れによる事故は毎年のように起きていると報告されています[8][7]。受電前に設備全体の絶縁抵抗を一括で測る確認は、省かないことが大切だとされています[6][8]。

停電作業前のKYで洗い出す項目と打ち合わせの進め方

ある技術者の資料では、作業指揮者が作業前に全員を集めて打ち合わせることになっています。そこで相互に確かめる項目は、体調、作業の内容・方法・手順、作業時間、停電範囲、停電と送電の時刻、作業分担、測定器と保護具、予備発電装置の運転の有無、構内機器の運転状態、第三者作業の有無とその打ち合わせ、注意が必要な箇所です[2]。作業に入るときは立入禁止区域をロープや表示で区切り、作業範囲をはっきり示すことも挙げられています[2]。

役割は当日に割り振らず、前もって決めておくよう勧められています。遮断器の操作、アースフックの取り付け、検電の担当者を声に出して確かめるだけで、ミスが大きく減るという指摘があります[1][9]。停電で何が止まるかも事前に客先へ聞いておきます。たとえばUPSがどれくらい持つか、自動ドア、消防設備、警報です。これも当日の混乱を防ぐ準備とされています[1]。

病院のように、点検中でも急に送電が必要になる現場もあります。そうした現場では、どの作業がどこまで進んでいるかを把握する全体責任者を置き、時間の段取りを決めておくことが勧められています[9]。打ち合わせは手順の確認だけでなく、不安や体調不良を抱えたメンバーがいないかを互いに気にかける場として大事だという声もあります[10]。

逆送電:PASを切っても電気が回り込む経路を洗い出す

構内に太陽光発電や事業用の蓄電池があると、低圧側から高圧側へ電気が回り込み、キュービクル内の作業者が感電するおそれがあると指摘されています[3]。そのため、引込みのPASを開放するだけでなく、低圧側のブレーカーも切ってから作業に入るよう勧められています[3]。

作業場所の照明に仮設電源を使うときも、つなぎ方を誤ると同じように逆送電が起こります[3]。ディーゼル発電機なら音で気づけますが、ポータブルバッテリーは音がしません。そのため、高圧の充電部に触れる前には検電するよう呼びかけられています[3]。去年は無かった太陽光パネルが今年はある、ということも起きています。例年どおりと思い込まず、設備の変化をKYで確かめることが求められます[3]。

試験の準備でも注意が要ります。発電機やポータブル電源が動いたまま電源コードをつなぐと、クリップどうしの短絡や感電が考えられます。そこで、試験を始めるまで電源元にはつながないようにしている技術者もいます[11]。

残留電荷と作業範囲の取り違えを防ぐ

一般に、停電させた電路でも、ケーブルやコンデンサには電荷が残ることがあります。短絡接地器具は、開放した断路器の一次側で三相を短絡して接地するものです。残留電荷を放電させ、誤通電や混触、誘導による感電を防ぐ目的があると説明されています[4]。ただし放電棒と違って内部抵抗がないため、金具が触れた瞬間に火花が出ることがあります。段階を分けて放電し、アークを抑える方法が紹介されています[4]。

作業範囲については、責任者の許可が出ていても、アースフックで守られた範囲の中で作業しているかを作業者自身が確かめるよう注意されています[3]。非常用回路が複雑な新設現場の例もあります。そこでは、商用で受電しているときと停電中に発電機から給電しているときの充電箇所を、それぞれ単線結線図に示して2枚用意しました。その図を使って作業員に工程を説明し、KYを済ませてから作業に入っています[5]。

この現場では、技術者が館内で停電の指示を出していて、盤を直接見られない時間帯がありました。発電機に切り替わってから出力される変圧器の電圧は、作業員に確認を任せています。それができたのは事前に図面を共有していたからだ、と振り返られています[5]。

実例:短絡接地器具を付けたまま受電した波及事故

工事を伴う停電点検での事故例です。主任技術者は短絡接地器具を付けず、代わりに工事会社が自分たちの判断で取り付けていました[6]。点検は終わったものの工事はまだ続いていましたが、主任技術者は工事の進み具合を確かめないままPASを投入しました。その結果、断路器の一次側で短絡が起き、器具と断路器が溶着して波及事故になりました[6]。原因として考えられているのは、普段から短絡接地器具や表示札を付ける習慣がなかったこと、チェックリストに沿って動いていなかったこと、工事会社との打ち合わせが足りなかったことです[6]。

同じ資料では、保護装置の働きについても触れています。PASやUGSのSO動作が正常に働けば、波及事故は防げます。一方、VT内蔵でない機器は、接地された状態では制御電源が得られず、保護が働きません。そのため、投入直後に破裂音、煙、無電圧などの異常があれば、すぐにPASを開放するよう述べられています[6]。逆に、工事会社に連絡せずに復電すると、仮に器具が付いていなくても作業者の感電につながりかねない、とも指摘されています[6]。

別の技術者の例です。工事と重なった年次点検で、工事後の内部確認と受電を顔なじみの電工に任せました。すると約1か月後の月次点検で、キュービクル内にニッパーが置き忘れられているのを見つけました[12]。この技術者は、工事の立ち会いを軽く扱わないことを教訓にしています[12]。

復電前後の確認をKYに組み込む

外し忘れの対策として挙げられているのは2つです。1つは、PASやVCBの操作を操作者と監督者の2人以上で行うこと。もう1つは、DSを入れた状態で受電設備の絶縁抵抗を一括で測ることです。接地が残っていれば測定値が0になるので気づけます[6]。別の技術者も、受電前のこの一括測定を必ず行う手順としています[8]。

目で見て気づける工夫もあります。アースフックに点滅するLEDランプを付ける方法を試した技術者は、最初のボタン電池式は電池がすぐ切れて実用に向かなかったため、USB充電式で約10時間点灯するものに替えました[8]。とくに一人で短絡接地を付けるときに使いたいとしています[8]。PASやVCBの操作は最低2人(操作者と監督者)で行い、ダブルチェックすることが対策として挙げられています[6]。LEDランプはこれに代わるものではなく、補助として使うのが妥当です。PASの操作紐に「接地器具を外したか」を確かめる札を付け、投入前に一呼吸置く工夫も紹介されています[7]。

復電した後の確認漏れもあります。太陽光発電所の年次点検で、コンデンサ引き外し電源装置とOVGR用の制御ブレーカーを戻し忘れた例です。翌日見に行くと、OCRもOVGRも働かない状態でした[13]。手動操作型のVCBでは電源ランプを目で確かめるしかないため、投入操作のときに目に入る場所へ注意書きを貼ったそうです[13]。作業後の最終チェックでは、離隔、忘れ物、結束や接地線の脱落、ウエスの引っかかり、ネジの戻し忘れなどを確かめます。そのうえで短絡接地を外し、高圧の絶縁抵抗測定で締めくくる流れが紹介されています[14]。具体的な手順は、設備ごとの手順書と有資格者の判断に従ってください。

現場で確かめること

  • 太陽光・蓄電池・非常用発電機・仮設電源など、PAS以外の電源があるか
  • 遮断器の操作、検電、短絡接地の取り付けと取り外しを誰が行うか
  • 単線結線図で停電範囲と充電箇所を全員が共有したか
  • 工事会社など第三者作業の進み具合と、誰が接地器具を付けたか
  • 受電前の一括絶縁抵抗測定と、接地器具・忘れ物が撤去されたか
  • 復電後、トリップ用電源や保護継電器の制御電源を入れたか

実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。

よくある質問

Q.停電作業のKYで、最低限決めておく役割は何ですか?

A.遮断器の操作、アースフックの取り付け、検電の担当者を事前に決め、声に出して確かめることが勧められています[1]。当日になって急に頼むと、頼まれた人が慌ててミスや感電につながるおそれがあると指摘されています[9]。

Q.一人で停電点検をするとき、アースフックの外し忘れはどう防げばよいですか?

A.アースフックに点滅するLEDランプを付ける方法[8]や、PASの操作紐に確認を促す札を付ける方法[7]が実践されています。基本は受電前に設備全体の絶縁抵抗を一括で測ることだとされています[8]。ただし、これらは補助の手段です。PASやVCBの操作は最低2人(操作者と監督者)で行い、ダブルチェックすることが対策として挙げられています[6]。

Q.構内に太陽光発電がある場合、PASを切るだけで作業に入れますか?

A.低圧側から高圧側へ電気が回り込み、作業者が感電するおそれがあると指摘されています[3]。低圧側のブレーカーも切り、高圧の充電部に触れる前には検電するよう勧められています[3]。

Q.工事会社が入る停電作業で、特に打ち合わせておくことは何ですか?

A.誰が短絡接地器具を付けるか、工事がどこまで進んでいるかを共有しておくことです。進み具合を確かめずにPASを投入して、波及事故に至った例があります[6]。工事後の内部確認を任せきりにして、工具が置き忘れられていた例もあり、立ち会いの大切さが指摘されています[12]。

Q.復電した後に確認しておくことは何ですか?

A.保護継電器やトリップ用電源など、制御電源の戻し忘れがないかを確かめます。手動操作型のVCBでは気づきにくく、翌日になって戻し忘れが見つかった例があります[13]。作業後の最終チェックとして、離隔、忘れ物、接地線の脱落なども確かめられています[14]。

出典(このページのもとにした記事・動画)

本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。

  1. [1]【停電点検】「準備不足」で現場を止めるな!新人が陥る致命的なミスとは?ゆうじの「電気保安の学校」(YouTube) / 2026年3月17日
  2. [2]受電設備試験安全確保の留意事項佐近電気管理事務所
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  4. [4]短絡接地器具 アースフックとは?目的、使用方法、事故例でんきメモ (memo-labo)
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