ある技術者は点検作業の前と受電の前に高圧の一括絶縁抵抗測定を行い、受電前の測定には5000Vメガーを使っています[1]。受電ケーブルは別にG端子接地方式で測り、機器をつないだまま絶縁層だけを確かめます[1][2]。低圧はMCCBを開放し、B種接地線を機器側と接地極側に分けてから測る方法があります[3]。最後に短絡接地を外し、高圧メガーで締めくくるのが現場の流れの一例です[4][1]。
停電作業のどこで絶縁抵抗を測るか
ある技術者の一人年次点検では、作業前にまず高圧の一括絶縁抵抗測定を行いました[1]。続いて受電ケーブルを単独で測り、点検後の受電前にもう一度一括で測っています[1]。点検したキュービクルは電灯と動力の変圧器各1台にLBS1台の構成です[1]。停電は1時間以内に収まり、低圧の現場盤メガーは一部を省略しました[1]。
この一人点検は、所属する協会が複数人での実施を指導するなかで、やむを得ず一人で行ったものです[1]。PASやVCBの操作は操作者と監督者の2人で確かめるのが望ましいとされています[5]。
一般に、停電中の測定は作業前の健全性確認と受電前の最終確認を軸に組み立てます。ある技術者は、受電前の一括測定を欠かせない手順と位置づけています[6]。
高圧側は受電ケーブルをG端子接地方式で、母線と変圧器一次側は一括で
ある技術者は受電ケーブルを5000VメガーのG端子接地方式で測り、10TΩ以上でした[1]。G端子接地方式では、シールドアースを接地線から外してE端子につなぎます[2]。L端子は高圧充電部へ、G端子は接地線へ接続します[2]。VCTやDS一次側から大地へ漏れた電流は、G端子を通って測定値から除かれます[2]。そのためPASやVCTをつないだままでも、ケーブル単体の絶縁層を評価できます[2]。
G端子接地方式は、シースの絶縁抵抗が1MΩ以上あることが前提です[2]。シースはDC500〜1000Vで測り、1MΩ未満を不良とする判定例があります[2]。シースが傷んで貫通すると水トリーが進み、波及事故につながるとの指摘もあります[2]。
母線や変圧器一次側は、DSを投入した状態で受電設備ごと一括して測る方法があります[5]。ある技術者の受電前一括測定は、5000Vメガーで6GΩでした[1]。測定後の放電をメガー任せにすると、感電や本体破損、放電不足のおそれがあると注意されています[2]。一般に、放電と検電の手順は現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
低圧側はB種接地線を切り離し、変圧器二次側から分岐回路へ
変圧器二次側からMCCB一次側までは、地絡保護が効かず短絡電流も大きい区間です[3]。B種接地線を切り離せるなら、この区間の測定は必須だとする意見があります[3]。手順は低圧MCCBをすべて開放し、接地端子盤でB種の機器側と接地極側を分けます[3]。機器側にメガーを当てると、変圧器二次側を通じて各MCCB一次側まで電圧がかかります[3]。
分岐回路は、MCCBの二次側を1回路ずつ測るのが正確な方法とされています[3]。MCCBを入れたまま全館停電とし、B種機器側から負荷まで一度に測る簡便法もあります[3]。別の技術者は、主幹一括の測定でも保安規定上の確認として問題ないと述べています[7]。1回路でも0.1MΩ未満があれば、主幹の値も0.1MΩ未満になるという理屈です[7]。子回路ごとに測るか主幹一括にするかは、現場や設備によって判断が分かれます[3][7]。
測る前に外すもの ELB・インバーター・負荷・アレスタ
線間を測るときは、漏電ブレーカーから電線を外さないと内部回路が故障するおそれがあります[8]。インバーターは線間にメガーをかけると壊れるとされ、制御回路も故障の原因になります[8]。インバーター単体を試験するときは、主回路端子の配線をすべて外します[8]。そのうえで端子を一括短絡し、主回路端子と大地の間に試験電圧をかけます[8]。
線間測定では負荷を外し、照明はスイッチを切って回路を切り離します[8]。電球をつないだままスイッチを入れて測ると、メガーは0MΩを示します[8]。
ある太陽光発電所では、接続箱のアレスタを付けたまま集電箱で測る運用でした[9]。一般に、SPDやアレスタを外すかどうかは機器の取扱説明書と現場の手順書で確かめます。
医療施設のように、停電中も非常用発電機で保安回路を生かす現場があります[10]。ある技術者は、保安回路を事前にIor方式の活線メガで測っておきます[10]。CTセンサーが入らない幹線や基準超過の回路は、当日にブレーカーを切ってメガーを当てます[10]。対象の回路には印を付け、測定担当者へ当日説明する段取りです[10]。
現場の実例 値がおかしいときに何を疑ったか
1988年製キュービクルの年次点検で、ある技術者が最初の分岐回路を測りました[11]。ブレーカー二次側の値が2〜3MΩの間で落ち着かず、当て方で変わりました[11]。穴枠に触れながら当てると2MΩ、端子だけなら3MΩでした[11]。ブレーカー本体を250Vレンジで測ると20MΩで、劣化した樹脂との合成抵抗が原因でした[11]。プローブのピンの被覆が抜け、端子と枠の両方に触れていたことも一因です[11]。技術者はピンを熱収縮チューブで補修し、ブレーカーは今後の低下を見て交換提案とする方針です[11]。
運転12年の太陽光発電所では、集電箱で測った1回路だけが0.1MΩでした[9]。接続箱で測り直すと最低値は0.4MΩを超え、絶縁不良とまでは言えない値でした[9]。技術者は破損したまま未改修のパネル1枚を原因とみて、交換を再び進言しました[9]。
B種機器側の値が低いときは、変圧器二次側と接地端子盤の間のがいしの汚れが疑われます[3]。エポキシ樹脂がいしの裏側は筐体に接しており、汚れるとA種接地側へ漏れるためです[3]。
測った後の復旧確認 短絡接地の外し忘れと接地線の戻し忘れを防ぐ
短絡接地を付けたまま受電し、波及事故になった事例は毎年起きています[6]。ある事故では、工事会社が自らの判断で短絡接地器具を付けていました[5]。主任技術者は工事の進み具合を確かめずにPASを投入し、波及事故に至りました[5]。対策の一つが、DSを投入した状態での受電前一括メガーです[5]。短絡接地が残っていれば絶縁抵抗は0を示すため、外し忘れに気付く手がかりになります[5]。
ある技術者は最終チェックで、離隔の変化や忘れ物、接地線の脱落を確かめます[4]。ネジの戻し忘れも、この技術者の確認項目に入っています[4]。変圧器のブッシングカバーの浮きも、このチェックで見つけて直しました[4]。そのうえで短絡接地を外し、高圧メガーで作業を締めくくっています[4]。
一般に、測定で切り離したB種接地線やシールドアースは、受電前に元どおり接続し直す必要があります。一般に、ELBやインバーターから外した配線も元の端子へ戻し、締付けまで確かめます。
PASの操作紐に投入前の再確認を促す札を付ける技術者もいます[12][1]。札は短絡接地の取外しと受電前メガーを、操作の直前に確かめるためのものです[1]。接地器具に点滅するLED灯を付け、取付中だと目立たせる工夫もあります[6][1]。一般に、受電操作の可否は現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
現場で確かめること
- B種接地線を切り分け、ELBやインバーターの配線外しと負荷の切り離しをしたか
- 発電機で生かす保安回路を把握し、測る回路に印を付けたか
- G端子接地方式の前にシースの絶縁抵抗を確かめたか
- 切り離したB種接地線・ケーブルシールドアース・外した配線を元どおり接続し、締付けを確かめたか
- 工事会社の作業終了と短絡接地器具の全数取外しを確かめたか
- 受電前の高圧一括メガーで異常がないことを確かめたか
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
出典(このページのもとにした記事・動画)
本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。
- [1]ひとり年次点検Denkikanri3y's Blog / 2025年10月22日
- [2]高圧絶縁抵抗測定・ハイボルトメガー・G端子(ガード)接地方式・原理と役割でんきメモ (memo-labo)
- [3]S-E間 B種接地線~トランス低圧側~MCCB1次側までの絶縁抵抗測定は必要?でんきメモ (memo-labo)
- [4]年次点検 作業後の確認とある電気管理の位相 / 2026年2月2日
- [5]アースフックの取り外し忘れで復電し短絡事故⇒波及事故でんきメモ (memo-labo)
- [6]短絡アース線の取り外し忘れ対策Denkikanri3y's Blog / 2024年11月24日
- [7]保安規定での低圧メガ測定はこうすれば簡単です。電験・電気管理(denken333) / 2019年2月22日
- [8]線間(相間)絶縁抵抗測定でELB、インバーター、電力量計が故障でんきメモ (memo-labo)
- [9]太陽光発電所の年次点検で絶縁低下とある電気管理の位相 / 2025年9月23日
- [10]年次点検中発電機での充電回路 活線メガ対応とある電気管理の位相 / 2025年4月11日
- [11]絶縁抵抗値の変動原因とある電気管理の位相 / 2026年6月10日
- [12]年次点検時のPASに確認喚起札の取付Denkikanri3y's Blog / 2025年5月25日
- [13]B種接地線のIor測定Denkikanri3y's Blog / 2026年5月19日