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地絡継電器試験のやり方と判定基準:GR・DGRの測定順と現場実例

公開 2026年10月8日出典 15件(うち動画 2本)サイト監修:本田電気管理事務所
結論

地絡継電器試験では、技術者は動作電流値が整定値の±10%に入るかを確かめます[1][2]。続いて整定値の130%と400%の電流を流し、動作時間を測ります[1][3]。時間整定0.2秒なら、130%で0.1〜0.3秒、400%で0.1〜0.2秒が目安です[1][2][3]。試験項目には慣性特性もあり、DGRでは零相電圧の最小動作電圧と位相特性の確認が加わります[3][4]。

GR・DGRの試験で測る項目と順番

ある技術者の解説では、現場の試験はJIS規格の試験方法に準じた内容の一部を行っています[3]。細かな項目は、保安規定や年次点検の作業要領書によって少し変わります[3]。

同じ解説が示すDGRの順番は、継電器本体のテストボタンによる動作確認が最初です[3]。三菱電機のMGR-A3T-Rでは、表示選択スイッチを強制動作に合わせてからテストボタンを2秒以上押します[5]。次に技術者は、連動する開閉器が開放するかを確かめます[3]。最後に動作時間と慣性特性を確かめます[3]。

試験項目には最小動作電流値も含まれます[4]。方向性のないGRは電圧入力を使わず、電流入力だけで試験します[6]。

竣工検査や交換工事で試験する範囲は、技術者によって二通りあります[4]。一つ目は電圧を5%だけにして、時間と電流を全タップ測るやり方です[4]。二つ目は電圧と時間を整定値だけにし、電流だけ全タップ測るやり方です[4]。どこまで測るかは、現場や設備によって判断が分かれます。

試験器の接続とZCT・ZPDへの入力のかけ方

一般に、ZCTは零相電流を、ZPDは零相電圧を取り出す機器です。ある技術者の記録では、試験器の電流出力をZCTのKt・Lt端子につないでいます[7]。電圧出力は零相電圧検出装置のT端子とE端子へ入れます[7][8]。継電器のZ1・Z2やY1・Y2などの端子には、試験入力を直接加えてはいけないと注意されています[9]。直接加えると継電器が焼損するおそれがあるためです[9]。

V0整定5%のとき、T端子とE端子の間に加える電圧の動作値は、光商工ZPC-9と泰和ZPD-1で570Vです[10]。富士電機ZPD-1の動作値は、同じ条件で570V±25%です[10]。光商工のZPC-9Bなら、試験電圧はZPC-9の3分の1で済みます[10]。機種ごとの試験電圧は取扱説明書で確かめ、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

富士電機ZPD-1と泰和ZPD-1は、一次側へ三相一括で加えると5%整定の動作値が190Vになります[10]。ただし三相一括では高圧母線にも電圧がかかり、他の作業者が感電するおそれがあります[10]。どちらの方法を採るかは、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

補助電源は、継電器用のブレーカーを切ってから二次側へ入れる方法が紹介されています[6]。ブレーカーを切らずに入れると、変圧器が逆に昇圧して高圧側に電圧が出るおそれがあります[6]。遮断器まで動かす連動試験では、引き外し用の電源も必要です[7]。電源元がどこか、電力側へ印加しないかの確認が重要とされています[7]。電源の入れ先は、現場の手順書と有資格者の判断で決めてください。

動作電流・動作時間・位相特性の合否の目安

動作電流値の目安は整定値の±10%です[1][2]。0.2A整定の継電器なら、0.18〜0.22Aで動作すれば範囲内です[1]。

動作時間は、電流を0Aから整定値の130%と400%へ急変させて測ります[2]。時間整定0.2秒では、130%で0.1〜0.3秒、400%で0.1〜0.2秒が判定範囲です[1][2][3]。DGRの時間測定では、零相電圧を整定タップの150%で入力します[3]。入力する位相はメーカーによって異なり、0度や進み30度、進み45度の指定があります[3]。

位相特性試験では、技術者は電圧を整定タップの150%、電流を1000%にします[3]。動作しない位相角から動作する側へ位相を動かし、メーカーの判定基準に入るかを見ます[3]。慣性特性試験では、電圧150%と電流400%を動作位相内で0.05秒だけ通電します[3]。継電器が動作しなければ良です[3][11]。

遮断器との連動時間は、GR単体の判定範囲に入れば良とする考え方があります[1][2]。LBSとの連動も、0.2秒整定なら0.1〜0.3秒で見るという記述があります[1]。別の記述は、単体の許容値に0.1秒ほど足した0.2〜0.4秒程度と予想しています[2]。LBS連動の許容値は、現場や設備によって判断が分かれます。

不動作や値のずれに気づいた現場の実例

DGR試験中のトラブルには、盤面のKt・Lt端子とZCT本体のKt・Ltの逆接続があります[7]。逆接続のままDGRを試験すると位相が反転し、DGRは同位相で動作しません[7]。逆接続の見分け方として、I0とV0を整定値の150%ほど出力した状態で位相を反転させる方法が挙げられています[7]。反転させた状態で継電器が動作すれば、配線が逆だと判断できます[7]。

PASを投入したままSOG制御装置へ試験電圧を加えると、配電線の残留電圧が試験電圧に重なります[9]。残留電圧が大きい現場では、SOG制御装置が正常な値で動作しないことがあります[9]。対処として、開閉器を開いて残留電圧を切り離してから試験する方法が挙げられています[9]。開閉器の操作は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

V0の最小動作値が許容範囲を外れたときは、試験器やポータブル電源の周波数設定を疑います[8]。50Hz用の継電器を60Hzの設定で試験すると、測定値がずれて範囲を超えるためです[8]。

模擬PASを使った実測では、技術者が0.2A整定のGRへ130%の電流を急に流しました[12]。電流を入れてからPASが開放するまでの時間は248ミリ秒でした[12]。別の機種の実測では、130%の通電からトリップ電圧が出るまで184ミリ秒でした[13]。同じ機種をテストスイッチで動かすと153ミリ秒で、試験器での単体試験より30ミリ秒短くなりました[13]。

人工地絡試験と不必要動作の見分け方

人工地絡試験は電力会社が行う試験で、配電用変圧器の二次側母線に接地棒を当てて地絡を作ります[14]。一般に、人工地絡試験は需要家が受電設備で行う継電器試験とは別の試験です。地絡抵抗6kΩで地絡リレーが動作するV0とI0の整定値を、人工地絡試験で決めます[14]。リアクトル接地系では、事故時の位相範囲を人工地絡試験などで確かめることもあります[7]。

GRの不必要動作の要因には、雷サージや誘導障害、ケーブル接地工事の不適切があります[9]。雷の電流は高周波の交流として大地へ流れ、地絡電流との区別が困難です[9]。誘導雷でDGRだけが動作した場合は、保護継電器の故障ではないとされています[9]。

複数のZCTをそれぞれ接地すると多点接地になり、DGRが不要動作する原因になります[11]。DGRの系統では、ZPCの二次側Y2端子の1点で接地します[11]。

現場で確かめること

  • 補助電源と引き外し電源の入れ先を、現場の手順書と配線図で確かめる[7][6]
  • 試験入力を継電器端子へ直接加えず、ZCTのKt・LtとZPDのT・Eに入れているか[9][7]
  • 試験器の周波数設定が継電器の周波数と合っているか[8]
  • 動作電流値が整定値の±10%に入っているか[1][2]
  • 130%と400%の動作時間が判定範囲に入っているか[1][3]
  • DGRが同位相で動かないときは、Kt・Ltの逆接続を疑う[7]

実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。

よくある質問

Q.ZPDに加える試験電圧は570Vと190Vのどちらですか

A.富士電機ZPD-1と泰和ZPD-1の動作値は、V0整定5%のときT端子とE端子の間で570V、一次側三相一括で190Vです[10]。光商工ZPC-9もT端子とE端子の間は570Vで、ZPC-9BはZPC-9の3分の1の電圧で試験できます[10]。三相一括は高圧母線にも電圧がかかるため、実施は現場の手順書と有資格者の判断に従ってください[10]。

Q.テストボタンで測った動作時間は試験器の測定値と同じですか

A.ある実測では、テストスイッチでの動作時間は153ミリ秒でした[13]。試験器で130%を通電した単体試験は184ミリ秒で、テストスイッチのほうが30ミリ秒短い結果です[13]。

Q.DGR試験器の出力位相は外部の計測器で確かめられますか

A.ある技術者は、DGR試験器の出力位相をユニバーサルカウンターで測りました[15]。ユニバーサルカウンターの値と校正済みの外付け位相計の値の差は1〜2度でした[15]。同じ技術者は、DGR試験器の出力電圧が低いとカウンター側の測定誤差が大きくなる点も記録しています[15]。

出典(このページのもとにした記事・動画)

本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。

  1. [1]地絡方向継電器の判定基準でんきメモ (memo-labo)
  2. [2]GR 地絡継電器 原理、目的、試験方法、整定値、設置基準でんきメモ (memo-labo)
  3. [3]方向性地絡継電器用試験器 GCR-miniぽんぽんタイガー(YouTube) / 2021年12月10日
  4. [4]竣工検査や交換工事においてDGRやSOGの試験内容は?でんきメモ (memo-labo)
  5. [5]地絡継電器(GR、DGR)試験 : 野生の電気主任技術者の日常野生の電気主任技術者の日常 / 2025年1月1日
  6. [6]『電気主任技術者』初心者でも安心。地絡継電器試験を解説。ゆうじの「電気保安の学校」(YouTube) / 2021年5月19日
  7. [7]地絡方向継電器 67 原理、目的、試験方法、整定値でんきメモ (memo-labo)
  8. [8]零相電圧検出装置 ZPD(中性点非接地系統で各相の対地電圧を検出用コンデンサで分圧し監視)でんきメモ (memo-labo)
  9. [9]方向地絡継電器の事故・トラブルでんきメモ (memo-labo)
  10. [10]V0整定5%でZPDのT-E間の電圧印加が190%ではなく570Vの場合でんきメモ (memo-labo)
  11. [11]多点接地、循環電流による地絡継電器の誤動作でんきメモ (memo-labo) / 2013年1月1日
  12. [12]構内第1柱SOGの動作特性を調べてみました(GR編)Denkikanri3y's Blog / 2025年8月19日
  13. [13]GABの連動動作時間(方向性なしGR)Denkikanri3y's Blog / 2026年6月7日
  14. [14]人工地絡試験でんきメモ (memo-labo)
  15. [15]ユニバーサルカウンターでDGRの位相測定Denkikanri3y's Blog / 2024年10月13日
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