単線結線図や継電器盤で地絡継電器を表す番号は、GRが51G、DGRが67、OVGRが64です[1][2][3]。GRはZCTの零相電流を使い、DGRはZCTとZPDの両方を使います[4][1][5]。OVGRはZPDの零相電圧だけで地絡を検出します[2]。番号に加えて、ZCTやZPDのどの端子とつながっているかを見ると、地絡継電器を確実に見分けられます。
51G・67・64はどの地絡継電器を指すか
一般に、継電器盤や単線結線図の番号は、制御器具番号の慣例に沿って付けられます。地絡継電器GR(Ground relay)の器具番号は51Gです[3]。GRは、受電設備の対地静電容量が小さい現場に向く継電器です[6][3]。ただしGRは、地絡が構内で起きたか構外で起きたかを区別できません[1]。構内の静電容量が大きい現場では、構外の事故でもGRが不要動作するおそれがあります[3]。
地絡方向継電器DGRは67の番号で扱われ、構内の地絡のときだけ動作します[1]。DGRを使えば、構外の事故に巻き込まれて遮断する心配がありません[1]。地絡過電圧継電器OVGRの番号は64で、地絡を電流ではなく零相電圧で監視します[2]。零相電圧は同じ変圧器につながる系統全体に現れます[2]。そのためOVGRの信号だけでは地絡点を特定できません[2]。
図面での書かれ方と紛らわしい番号
ある技術者の記録では、受電用の遮断器を52R、フィーダー側の遮断器を52F1・52F2と表しています[5]。DGRには受電用と分岐用があり、型式で区別できる製品があります[7][8]。泰和の製品ではSHG-M10が受電用、SHG-M20が分岐用です[7]。富士電機の製品ではQHA-DG3が受電用、QHA-DG4が分岐用です[8]。
盤内には、地絡と関係のない電圧系の継電器も並んでいます。84の電圧継電器は、非常用発電機の電圧確立を確認して切替器へ信号を送ります[9]。過電圧継電器OVRは高圧の非常用発電装置の盤によく付いており、VT二次側の電圧を監視します[10]。OVGRは、ZPDのY1・Y2から零相電圧を受け取ります[2]。名前が似ていても、入力元の配線を追えば両者は見分けられます。
電流引き外し形の回路では、OCRのT相の引き外しコイルをGRと共用します[6][3]。OCRとDGRを組み合わせる型は、モールドジスコンやピラージスコンを使う現場に多くあります[11]。
ZCT・ZPDとの組み合わせと端子の読み方
GRは、ZCTの二次端子k・lをZ1・Z2端子で受けて地絡電流を検出します[4]。ZCTの向きは、UGSやPASのある電源側がK、VCBやLBSのある負荷側がLです[4]。ケーブルが下から立ち上がる場合は、ZCTの下面がK、上面がLになります[4]。
ZCTには試験用のKt・Lt端子があり、試験電流はKt・Ltへ流します[4]。k・l側に試験電流を流すとGRに過大な電流がかかり、本体が壊れることがあります[4]。
DGRは、ZCTの電流とZPDの零相電圧を組み合わせて地絡の方向を判定します[1][5]。ZPDはメーカーによってZVTやZPCとも呼ばれます[5]。ZPDのY1・Y2は、DGRのY1・Y2に接続します[5]。ZPDの設置位置は取扱説明書ではVCB(52R)の二次側です[5]。現場によってはDSの二次側やVCBの一次側に付いていることもあります[5]。
ある機種のGRは、ZCTの穴に試験線を通す向きを問いません[12]。一方でDGRは、ZCTのK側に試験器のKt、L側にLtが来るように通します[11]。
現場の実例:変流比と試験端子の取り違え
ある技術者は、現場で拾ったGRを自宅で単体試験しました[13]。整定値の0.2Aに届く前の1mA程度でGRが動作したため、技術者は継電器の不良を疑いました[13]。後日、年次点検の応援に入った現場にはKt・Lt端子が無く、ZCTまでの距離もありました[13]。この現場でも単体試験を始めると、わずかな電流でGRが動作しました[13]。
技術者は、GRに入るのはZCTで変流された後の電流だと気づきました[13]。試験線をZCTに通して電流を流すと、試験は通常どおりできました[13]。別の記録では、ZCTの定格を一次200mA・二次1.5mAとしています[4]。GRのZ1・Z2端子に一次側相当の試験電流を直接流してはいけません[4]。試験電流は盤のKt・Ltに流し、Kt・Ltが無い現場では試験線をZCTの穴に通して流します[13][4]。
DGR試験では、盤面の試験端子とZCT側のKt・Ltが入れ替わって結線されていた例があります[1]。入れ替わったままでは位相が逆になり、DGRは同位相の入力で動作しません[1]。ある技術者は、I0とV0を整定値の150%程度にして位相を反転させています[1]。反転後に動作すれば、配線が逆だと判断できます[1]。
零相電圧の最小動作値が許容範囲を外れたときは、試験器の周波数設定を疑います[5]。50Hzの継電器を60Hz設定で試験すると、測定値がずれて範囲を超えます[5]。ZPDは端子の短絡で50Hzと60Hzを切り替えるため、竣工検査や増設の際の確認項目です[5]。
GRとDGRの選び分けと整定値の目安
ある技術者の記録では、構内の充電電流がGR感度電流の半分以上ならDGRを選ぶとしています[6]。充電電流が100mA以上、ケーブル長でおよそ60m以上の場合もDGRを選ぶ目安です[6]。
GRの電流整定は通常0.2Aで、感度が良すぎて動作する場合は0.4Aにします[3]。0.6A以上にするときは配電用変電所との協調が崩れるおそれがあり、電力会社に相談します[3]。ある技術者の記録では、DGRの整定例を零相電流0.2A・零相電圧5%としています[1]。DGRの動作時間はフィーダ用で0.2秒が標準で、多回線の母線用では0.4秒以上とする場合もあります[1]。系統の残留分で検出表示が点く現場では、零相電圧を7.5%以上に整定します[1]。
OVGRの動作時間は、電力会社の指定で1秒とする例が多くあります[2]。DGRの動作時間は配電用変電所との協調で最も重要な項目で、電力会社との協議が必要です[1]。
現場で確かめること
- 継電器本体の型式が受電用か分岐用か[7][8]
- ZCTのK・Lの向きと、盤面Kt・Ltとの対応[4][1]
- ZPDのY1・Y2がDGRとOVGRのどちらへ配線されているか[5][2]
- ZPDと試験器の周波数設定が50Hz・60Hzで合っているか[5]
- 制御電源P1P2と引き外し電源S1S2の供給元MCCB[11][12]
- 復帰方式(自動・手動)と動作後の自己保持の有無[2][11]
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
Q.67と67Gは同じ継電器ですか?
A.資料の記録では、地絡方向継電器DGRは67の番号で扱われています[1]。一般に、図面によっては補助記号を添えた表記が使われることもあるため、凡例と本体の型式で確かめてください。
Q.OVGR(64)とOVR(過電圧継電器)の違いは何ですか?
A.OVGRはZPDから零相電圧を受け、系統側の地絡を検出して太陽光発電のパワコンを止めます[2]。OVRはVT二次側の電圧を監視する継電器で、高圧の非常用発電装置の盤に多く付いています[10]。
Q.GRのテストボタンは通電中に押してもよいですか?
A.通電中は継電器に触らないようにします[6][3]。テストボタンを押すと引き外し回路に電圧がかかり、遮断器や開閉器が開いて停電します[6][3]。試験は停電の計画に組み込み、手順書に従って行ってください。ある機種では、停電中にトリップ用電源のMCCBを確かめた後、試験スイッチでVCBやLBSの開放を確認する記録があります[12]。
出典(このページのもとにした記事・動画)
本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。
- [1]地絡方向継電器 67 原理、目的、試験方法、整定値でんきメモ (memo-labo)
- [2]地絡過電圧継電器(64) OVGRとは?原理、目的、試験方法、整定値、太陽光設置条件でんきメモ (memo-labo)
- [3]GR 地絡継電器 原理、目的、試験方法、整定値、設置基準でんきメモ (memo-labo)
- [4]ZCT 零相変流器とは?仕組み、配線、選定でんきメモ (memo-labo) / 2007年1月1日
- [5]零相電圧検出装置 ZPD(中性点非接地系統で各相の対地電圧を検出用コンデンサで分圧し監視)でんきメモ (memo-labo)
- [6]g_highでんきメモ (memo-labo) / 2021年10月16日
- [7]TAIWA SHG-M10でんきメモ (memo-labo) / 2024年6月29日
- [8]富士電機 QHA-DG3 QHA-DG4でんきメモ (memo-labo)
- [9]84 電圧継電器でんきメモ (memo-labo)
- [10]過電圧継電器 OVRとは?原理、目的、用途、整定値、誤動作でんきメモ (memo-labo)
- [11]光商工 LDG-23(23K)でんきメモ (memo-labo) / 2026年3月20日
- [12]omron AGF-2-R2 地絡継電器でんきメモ (memo-labo) / 2026年3月30日
- [13]技術的な気づき : 野生の電気主任技術者の日常野生の電気主任技術者の日常 / 2023年6月12日
- [14]地絡過電圧継電器とは?太陽光等に必須の継電器に関して解説保安電気管理 / 2025年4月8日