現場の記事から作った解説

地絡継電器とは?受電設備での役割と現場で動いた実例

公開 2026年10月20日出典 15件(うち動画 1本)サイト監修:本田電気管理事務所
結論

地絡継電器は、ZCTで零相電流を検出し、構内の地絡で開閉器を開かせる継電器です[1][2]。区分開閉器のPASやUGSでは、SOG制御装置が地絡を検出して波及事故を防ぎます[3]。キュービクル内にGRを置き、LBSやVCBを開放させる構成もあります[4][2]。無方向性の継電器は、他の需要家の地絡でも動くもらい事故を起こすことがあります[4][5]。

地絡継電器は受電設備の中で何をしているか

一般に、地絡とは電路の絶縁が損なわれ、電流が大地へ流れ出る状態を指します。地絡継電器は地絡電流を感知すると内部接点が動き、開閉器の引き外し回路に電圧を加えます[2]。区分開閉器に付くSOG制御装置は、需要家側の地絡や短絡で開閉器を開き、波及事故を防ぎます[3]。

継電器試験で遮断器を動かすには、引き外し用の電源としてs1・s2にAC100Vを加えます[6]。継電器が動作するとトリップコイルに電流が流れ、遮断器が開きます[6]。s1・s2に電源を加える試験では、電力会社側へ印加しないかなど供給元の確認が欠かせません[6]。電流引き外し形のVCBでは、OCRのT相用トリップコイルをGRの引き外しと兼用する方式があります[2]。

ZCTが零相電流を検出する仕組み

ZCTは、三相の電線をまとめて鉄心の穴に通す変流器です[1]。健全な三相では各相の電流が打ち消し合い、合計はゼロになります[1]。1相が地絡すると、健全相の対地静電容量を経由して電流が循環します[1]。三相の合計がゼロでなくなると、ZCTは不平衡分を電圧に変えて二次側のk・l端子から出力します[1]。

ある技術者の記録では、ZCTの選定例として定格零相一次電流200mA、二次電流1.5mAを挙げています[1]。窓径は通す電線と定格電流で選び、60mmなら300Aといった区分があります[1]。

SOG付きPASとキュービクル内のどちらに付いているか

SOG制御装置は、PASやUGSといった区分開閉器に取り付ける継電器です[3]。開閉器より需要家側の構内で地絡や短絡が起きると、SOG制御装置がPASやUGSを開放します[3]。キュービクル側では、モールドジスコンとLBSにGRを組み合わせた設備もあります[1][4]。VCBで受電する設備では、GRの動作でVCBのトリップコイルに電流が流れます[2]。

SOGの制御電源には、PAS内蔵VTから取る方式と変圧器二次側の低圧から取る方式があります[7]。PAS本体の側面や裏面にVTの表記があれば、VT内蔵形と見分けられます[7]。外部電源形では、SOGボックスへのP1・P2配線だけが別配管でキュービクルから来ています[7]。ある技術者は年次点検で、キュービクルの100VをSOGと試験器の電源に共用しました[8]。トリップでSOGの電源が切れる瞬間を利用して、連動時間を測っています[8]。

外部電源形では、復電と同時にSOGの電源が入らないとSOGは無保護になります[7]。SOGに電源が無い間に構内で事故が起きると、PASは開きません[7]。その場合は配電用変電所のVCBが開き、波及事故につながります[7]。地中に埋めた電源線の断線や、草刈りでの切断も事故例として記録されています[7]。復電時のブレーカー操作の順序は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

月次点検では、SOGの電源ランプや自己診断ランプ、V0・I0ランプを確かめます[3]。SOG制御装置の扉が閉まっているか、箱の中に水滴や虫がないかも点検項目です[3]。

本当の地絡で動いた実例と対応

ある掲示板の記録では、13時11分にPASがトリップし、SOGに地絡のG表示が出ました[9]。約30分後には、工場から全停電の連絡が入っています[9]。変電所側では零相電圧が検出されませんでした[9]。一方、配電線の地絡検出機能付き開閉器は、繰り返す微地絡をとらえていました[9]。

14時20分の絶縁抵抗は200MΩでしたが、担当者は実事故と判断して耐圧試験を行いました[9]。AC11000Vで異常はなく、担当者は蛇などが触れて逃げたと推定しています[9]。15時10分に電力会社へ連絡して受電し、受電後の状態は良好でした[9]。

別の記録には、GR動作で開いたPASを絶縁抵抗に異常なしとして投入し、再び地絡して波及事故となった事例の題があります[10]。屋外キュービクルに入ったヘビなどが充電部で相間に触れ、SO動作で区分開閉器が開いた例もあります[11]。ある技術者は、SO動作なら負荷側の短絡を疑い、相間の絶縁も測るべきだと考えています[12]。絶縁抵抗が良好でも原因が分からないときの再投入は、手順書と有資格者の判断で決めてください。

多点接地やもらい事故で動いた実例

ある記録では、LBSとGRで受電する需要家が停電し、GRのターゲットが動作していました[4]。MDSには電力会社から送電されており、開いていたのはLBSだけでした[4]。LBS二次側の絶縁抵抗は良好で、GRの単体試験と連動試験も正常でした[4]。担当者は、近くの建物で起きた地絡の電流が大地を通って自社構内に入ったと推測しました[4]。その電流が構内の対地静電容量からZCTを通って外へ流れ、GRがLBSを開いたという見立てです[4]。

需要家の中で対地静電容量が最も大きいのは、高圧ケーブルです[4]。ある記録の試算では、6kV CVT100sqが124m以上あると充電電流が200mA以上になります[2]。GRを200mAで整定していると、電源側の地絡で不要動作するおそれがあります[2]。無方向性のPASは製造年が古いものが多く、指摘事項に交換推奨を書く技術者もいます[5]。

ZCTの二次側は混触対策で接地しますが、GRとDGRでは接地の取り方が違います[13]。GRでは、ZCTのl端子1点で接地します[13]。DGRで複数のZCTをそれぞれ接地すると多点接地になり、不要動作の原因になります[13]。DGRの場合は、系統に一つだけある零相蓄電器の二次側Y2端子で1点接地します[13]。

遮断器の三相投入不揃いや、近くの低圧大電流幹線からの電磁誘導でも誤動作が起こります[13]。停電前に接地抵抗計で測定した際に、SOGが動作してPASが開いた事例の題も残っています[11]。GRとDGRの違い、継電器試験の手順、整定値の決め方は、それぞれの解説ページで扱います。

現場で確かめること

  • 地絡継電器がSOG付きPASかキュービクル内か、開く開閉器はどれかを確認する
  • SOG制御電源がPAS内蔵VTか低圧MCCBからかを見分けておく
  • 動作時はG表示かSO表示か、ターゲットの状態を記録する
  • 継電器が無方向性か方向性か、構内高圧ケーブルの長さを把握する
  • ZCT二次側の接地が1点になっているかを配線で確かめる
  • 月次点検でSOGの電源ランプ・自己診断ランプ・V0/I0ランプを見る

実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。

よくある質問

Q.地絡継電器が動作したら、すぐ再投入してよいですか?

A.再投入の可否は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。ある記録では、絶縁抵抗が200MΩでも実事故と判断し、耐圧試験で確かめてから受電しました[9]。絶縁抵抗に異常がないまま投入し、再び地絡して波及事故になった事例の題もあります[10]。

Q.SOGと地絡継電器は別の機器ですか?

A.SOG制御装置は、PASやUGSに付けて地絡と短絡から構内を守る継電器です[3]。地絡を検出すると区分開閉器を開き、波及事故を防ぎます[3]。キュービクル内にGRを置く設備では、GRがLBSやVCBを開きます[4][2]。

Q.もらい事故はどうすれば防げますか?

A.方向性のDGRは零相電流と零相電圧から事故の方向を見分け、構内の地絡でだけ動きます[6][14]。GRは、構内の対地静電容量が小さい設備に向く継電器です[2]。動作時間などの整定は、電力会社との協議が必要になります[6][2]。

Q.PASのZCT二次側の接地はA種ですか、D種ですか?

A.ある技術者は、高圧計器用変成器の二次側にあたるとしてD種での判定が妥当と答えています[15]。質問した側は、Z2が開閉器内部で外箱につながる構造ならA種が要ると考えていました[15]。年式や仕様変更で構造が違うため、現場や設備によって判断が分かれます[15]。

Q.SOGの試験で気をつけることは何ですか?

A.既設のP1・P2配線をつないだまま試験器の電源を加えると、PAS内蔵VTが焼損する危険があります[3]。キュービクル内の作業員が感電するおそれもあります[3]。試験の段取りは、手順書と有資格者の判断に従ってください。

出典(このページのもとにした記事・動画)

本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。

  1. [1]ZCT 零相変流器とは?仕組み、配線、選定でんきメモ (memo-labo) / 2007年1月1日
  2. [2]GR 地絡継電器 原理、目的、試験方法、整定値、設置基準でんきメモ (memo-labo)
  3. [3]SOG制御装置とは?試験方法・配線でんきメモ (memo-labo)
  4. [4]もらい事故・他需要家の地絡事故でケーブル対地静電容量による電流でGR動作でんきメモ (memo-labo)
  5. [5]PAS 高圧気中負荷開閉器とは?役割、配線図、事故事例でんきメモ (memo-labo) / 2026年1月18日
  6. [6]地絡方向継電器 67 原理、目的、試験方法、整定値でんきメモ (memo-labo)
  7. [7]SOG制御電源がPAS内蔵VTではなく変圧器2次側低圧から使用している場合でんきメモ (memo-labo)
  8. [8]ひとり年次点検Denkikanri3y's Blog / 2025年10月22日
  9. [9]地絡によりPASトリップ電気管理技術者の交流掲示板 / 2026年6月5日
  10. [10]SOGの不必要動作(誤作動)でんきメモ (memo-labo)
  11. [11]PASやUGSによるSO動作の例でんきメモ (memo-labo)
  12. [12]SOG制御器のSO動作表示Denkikanri3y's Blog / 2024年11月24日
  13. [13]多点接地、循環電流による地絡継電器の誤動作でんきメモ (memo-labo) / 2013年1月1日
  14. [14]方向性地絡継電器用試験器 GCR-miniぽんぽんタイガー(YouTube) / 2021年12月10日
  15. [15]【PASの接地抵抗について】SOG制御装置のZ2接地抵抗種別はA種?D種?とある電気管理の位相 / 2026年6月29日
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