過電流継電器は図面でOCRと書かれ、CTが検出した電流の大きさに応じて動作する保護継電器です[1]。内部には限時要素と瞬時要素があります。瞬時要素は番号50、記号I>>>で表されます[2]。点検では、両方の要素について最小動作電流と動作時間を測り、遮断器が連動して開くかも確かめます[3][4]。
OCR・50など記号の意味
単線結線図とキュービクルの銘板での見分け方
単線結線図では、高圧電路のCTで電流を扱いやすい大きさに変換しています。二次側の定格は5Aが一般的です[1]。たとえばCT比100/5なら、一次側に100Aが流れると二次側は5Aで、電流計は100Aを指します[1]。電流はCT、CTT、OCR、電力計・力率計、電流計切替開閉器、電流計の順に回ってCTへ戻ります[1]。
銘板の一例では、限時要素を3〜8A、瞬時要素を20〜80Aの範囲でタップを差し替えて整定できました[5]。銘板には時限ダイヤル10の特性図と内部回路が載っていて、その回路図から電流引き外し形と判別できます[5]。この形では、通常時はC1からC2へ電流が流れ、動作するとP1から引き外しコイル、P2を経てC2へ流れる経路に切り替わります[5]。静止形が主流ですが、誘導円盤形もまだ残っています[1]。
CTTがOCRより下流に付いている盤もあります。ある技術者の記録では、東芝の保護継電器Nシリーズ付きの盤でよく見かけ、三菱製でもまれにあるそうです[6]。試験の前に、図面と実際の配線順を照合しておくと安心です。
限時要素と瞬時要素の違い
限時要素は反限時特性を持ち、電流が大きいほど短い時間で動作します[1]。特性には超反限時(EI)・強反限時(VI)・反限時(NI)の種類があります[2][7]。たとえば3A整定・ダイヤル10の超反限時なら、公称の動作時間は300%で10秒、700%で1.67秒です[7]。
瞬時要素は短絡のような大電流で働きます。限時要素より大きな値に整定でき、大半は約50msで動作します[8]。整定の目安は資料によって違います。変圧器容量から求めた電流の1000〜1500%とする説明がある一方[2]、通常使用する最大電流の500〜1500%とする説明もあり[1]、現場や設備によって判断が分かれます。需要家のOCRは電力会社側より早く動作させる必要があります。協調を誤ると配電用変電所の遮断器が先に開き、地域停電につながります[2]。
短絡容量が小さく協調が取りにくい現場では、瞬時要素の3段整定が役立つとされます[9]。ある技術者の記録では、CT一次250Aの設備で末端の2相短絡電流758Aを保護するため、3段80%で整定しています[10]。別の記録では、整定に慣れるためにあえて瞬時要素を30A・3段80%に整定し、動作時間を200%で0.05秒以下、130%で0.09秒以下、90%で0.3秒以下で確認するとしています[9]。
試験で確かめる項目と判定の目安
最小動作電流の試験では、タップ値の9割程度まで一気に電流を上げ、そこから少しずつ増やして動作した値を読みます[3]。判定は、限時要素が整定値の±10%以内[8][3][11]、瞬時要素が±15%以内です[4][7][11]。
動作時間は、限時要素を300%と700%で、瞬時要素を200%で測ります。瞬時要素は0.05秒以下なら良と判定します[4][7]。許容誤差はメーカーで異なります。オムロン製は300%で±17%、700%で±12%です[7]。三菱製の超反限時は300%で±5%、700%で±7%と紹介されています[8]。判定には、必ずその機種の取扱説明書の値を使ってください。
瞬時要素を試験するときは、限時要素をロックするか、円盤の回転を押さえておきます。そうしないと限時要素が先に動作してしまいます[4]。電流をゆっくり上げると、内部の発熱やコイル焼損、接点溶着の原因になります[8][4]。限時要素ではVCBが開くのに瞬時要素では開かない場合は、瞬時要素の故障と判断されています[4]。
ある事務所では、竣工検査でダイヤル10と実際の整定ダイヤルの両方を試験しています[12]。以降の年次点検では整定ダイヤルだけを測り、前回値と大きくずれていなければ良としています[12]。参考値をわずかに外れた程度では、不良と判断しないという考え方です[12]。
現場の実例:試験記録と想定外の配線
研修用の試験記録では、測定の前に電流回路を確認しています。CT比75/5の場合、1Aを流すと電流計が15Aを指すかを相ごとに見る手順です[3]。確認後は電流計切替開閉器を切にして、負担の差をなくし、電流計に過大な入力がかからないようにしていました[3]。結果は、最小動作電流が赤相・青相とも3.0Aで良でした[3]。動作時間は300%で117〜118サイクル、700%で21サイクルです。700%の21Aは瞬時整定の20Aを超えるため、測定中は瞬時要素をロックしていました[3]。
別の現場では、電圧引き外し形のVCBに電流引き外し形のOCRが組み合わされ、警報用のa1-a2接点がトリップ回路に使われていました[13][14]。引き外し用と警報用では接点容量が違い、溶着するおそれがあります[13]。この技術者はパワーリレーを挟む方法も考えていますが、個人の見解にとどまります[13][14]。本来は、VCBの引き外し方式に合ったOCRに交換するのが基本です[13]。改修は設置者・メーカー・主任技術者と協議して決めてください。この配線でも単体試験と連動試験は問題なく通るので、見落としやすい点に注意が必要です[14]。更新を勧めるときは、何が問題なのかを具体的に説明できるようにしておくべきだとしています[14]。
CTTが無い盤で、配線を外さずにCT二次側のk・l端子から電流を流して試験した記録もあります[6]。ただし、この方法ではCT一次側に電圧が出るおそれがあり、その対策としてVCB二次側で3相短絡・接地する方法は、記録した技術者の個人的な予想として書かれています[6]。停電・検電・接地を含む作業の可否や手順は、断定せず、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
現場で確かめること
- 単線結線図の凡例で、OCRや番号50などの記号が何を指すか確かめる
- 銘板で限時・瞬時のタップ範囲、特性の種類、引き外し方式を確認する
- CTTとOCRの接続順が図面どおりかを見る
- 瞬時要素の試験前に限時要素をロックする
- 判定値はメーカーの取扱説明書で確認し、前回の記録と比べる
- VCBの引き外し方式とOCRの形式が合っているか確かめる
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
出典(このページのもとにした記事・動画)
本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。
- [1]過電流継電器1ぽんぽんタイガー(YouTube) / 2016年7月23日
- [2]OCR 過電流継電器とは?動作原理、目的、試験方法、整定値でんきメモ (memo-labo) / 2023年4月1日
- [3]過電流継電器研修品計器付きぽんぽんタイガー(YouTube) / 2020年11月19日
- [4]過電流継電器 瞬時要素 動作電流・動作時間でんきメモ (memo-labo)
- [5]過電流継電器2ぽんぽんタイガー(YouTube) / 2016年7月23日
- [6]CTT試験端子がない、CTTの位置が違う場合の対処法でんきメモ (memo-labo) / 2026年3月29日
- [7]形K2OC(オムロン製)過電流継電器について保安電気管理 / 2025年4月8日
- [8]過電流継電器試験について解説保安電気管理 / 2025年4月8日
- [9]保護継電器試験を行う電気管理技術者の交流掲示板 / 2023年3月16日
- [10]短絡容量の小さなところで瞬時要素3段活用電気管理技術者の交流掲示板 / 2023年3月16日
- [11]受電設備試験の概要佐近電気管理事務所
- [12]【過電流継電器】ダイヤル10以下の限時動作時間管理値まとめとある電気管理の位相 / 2026年7月31日
- [13]誤配線:電圧引き外しVCBに電流引き外しOCRを使用でんきメモ (memo-labo)
- [14]電流引き外し用OCRと電圧引き外しVCBを組み合わせて使用している現場でんきメモ (memo-labo) / 2026年3月16日