現場の記事から作った解説

継電器試験のやり方|初めての年次点検で行うOCR試験の手順

公開 2026年10月27日出典 13件(うち動画 3本)監修:本田電気管理事務所(電気管理技術者)
結論

OCRの継電器試験は、試験器の扱いを覚えたうえで動作電流と動作時間を測るのが基本です[1]。結線後は最小動作電流・限時特性・瞬時要素・遮断器連動の順に進めます[2][3]。現場の失敗例には、試験中に継電器から音がして円盤が回らなくなった誘導型OCRがあります[4]。停止信号が取れずに電流が流れ続けると、誘導コイルが焼き切れるおそれもあります[5]。試験用に変えた整定値の戻し忘れも、保護協調の崩れや不要な停電につながります[6]。

試験前の準備:試験器の操作と理論動作時間の確認

初めての年次点検では、試験器の操作を先輩や取扱説明書で先に覚えておくと安心です[1]。試験器はメーカーや年式で操作が少しずつ異なり、先輩の試験器を借りる場面もあります[1]。一般に、試験前には現在の整定値を控え、試験後に元へ戻せるようにしておきます。

研修動画の技術者は、タップ・時限ダイヤル・瞬時の整定値を声に出して確かめています[3]。古い誘導型OCRには、倍率ごとの動作時間を計算式で出せない機種があります[4]。計算式が無い機種では、取扱説明書か継電器に描かれた特性曲線から理論値を読み取ります[4]。ある記録では、時限ダイヤル4の機種で200%が2.8秒、300%が2.0秒と読み取っています[4]。

結線:CTTで切り分け、電流と停止信号をつなぐ

電流引き外し形のOCRでは、CTT端子でCT側と継電器側を切り分けます[5]。試験器の電流出力は、継電器側のC1-C2端子に流れるように接続します[5]。誘導型OCRの停止信号は、T1-T2端子に信号線を付けて取ります[5]。誘導型には警報接点a1-a2が無いため、試験器は引き外しの瞬間に生じる電圧で停止を検知します[5]。

静止型で警報接点a1-a2から信号を取るときは、接点に配線があれば片側を外します[7]。配線を付けたまま試験すると、接点の先につながる機器を壊すおそれがあるためです[7]。空き端子が無く、狭く暗い継電器の裏で端子を外して信号線を付ける現場もあります[8]。ある技術者は、外したネジの落下や配線の戻し忘れに注意するよう呼びかけています[8]。

最小動作電流と限時特性の測り方

最小動作電流の試験では、試験器の電流レンジを整定値に合わせて切り替えます[1]。ある技術者の例では、4A整定なら5Aレンジ、30A整定なら50Aレンジを使っています[1]。研修動画では、タップ値の9割ほどまで一気に上げ、残りは少しずつ増やしていました[3]。3A整定の試験では、R相・T相とも3.0Aで継電器が動作しました[3]。技術者はJISの±10%以内として良と判定しています[3]。

盤の電流計切替スイッチは、各相で指示値を確かめた後に切へ戻します[3]。切にするのは、相ごとの負担の差をなくし、電流計への過大入力を防ぐためです[3]。

限時特性の試験では、試験器が整定値の200%などの電流を自動で作ります[1]。継電器の接点が閉じると試験器のカウンタが止まり、表示された時間を動作時間として読みます[1]。測る倍率は、200%と500%を参考値、300%と700%を公称値とする整理があります[9]。ある技術者は、700%は過渡電流の影響で正確に測れないとして省いているそうです[9]。準拠規格によっては1000%まで測る会社もあり、現場や設備によって判断が分かれます[9]。

瞬時要素の試験:整定を下げて試験器の負担を抑える

瞬時要素の動作時間は、瞬時の整定を最小値に下げてから200%の電流を流して測ります[10][2]。判定は0.05秒以下なら良とし、R相とT相の両方で確かめます[2]。整定30Aのまま200%を流すと60Aが必要になり、発電機にも試験器にも無理がかかります[10]。

瞬時の動作電流を測るときは、静止型なら限時要素をロックし、誘導型なら円盤を押さえます[2]。限時要素を止めておかないと、限時要素が先に動作してしまうためです[2]。電流はスライダックを滑らかに回し、瞬時整定値まで上げます[2]。ゆっくり上げ過ぎるとコイル焼損や接点溶着につながる、とする記録があります[2]。

遮断器との連動試験とGR・DGRへの進め方

連動試験では、OCRの動作でVCBが開くかと、開くまでの時間が適切かを確かめます[2]。一般に、VCBの一次側と二次側は高圧の主回路につながっています。一般に、試験線をつなぐ前の停電・検電・接地は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。ある記録では、試験器の停止信号をVCBの一次側と二次側に接続して試験しています[10]。限時要素ではVCBが開くのに瞬時要素では開かなければ、瞬時要素の故障と判断できます[2]。

停電できない工場や病院では、トリップ回路を切り離して単体試験だけを行う例があります[11]。活線状態では遮断器を実際に開く連動試験は行えない、と説明されています[11]。一般に、無停電で試験するかどうかは現場の手順書と有資格者の判断で決めます。

GR・DGRの結線や判定値は、地絡継電器の試験手順をまとめた別ページで確認してください。ある技術者は、GRの取扱説明書で単体試験と連動試験の管理値の表を見比べています[12]。技術者は、連動試験の管理値を単体試験の時間に0.1秒足した値と読み取っています[12]。

現場の失敗例:円盤が回らなくなったOCRと戻し忘れ

ある技術者の記録では、誘導型OCRの試験で整定値付近までは円盤が回っていました[4]。200%や300%、瞬時の試験に進んだところで、継電器から何かが切れる音がしました[4]。音がした後は、試験電流を流しても円盤が回らなくなりました[4]。

停止信号が取れずに電流が流れ続けると、誘導コイルが焼け切れるおそれがあります[5]。焼損を防ぐため、ある技術者は想定の動作時間を把握してからONボタンを押しています[5]。想定時間を過ぎてもカウンタが止まらなければ、技術者はすぐにOFFボタンを押します[5]。

故障後の確認として、技術者はC1-C2間の導通をテスターで調べています[4]。導通が無ければ断線が疑われます[4]。一般に、CT回路の処置は安全に関わるため、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

盤の電流計は、OCR試験の5Aで針が振り切れます[13]。R相に入れたまま40Aの瞬時試験をすると、振り切れる電流の8倍が流れます[13]。限時試験でR相とT相の動作時間が不自然に違い、電流計の切り忘れに気付く例もあります[13]。最小動作電流の試験中に針が動いていないかを見れば、事前に防げます[13]。

ダイヤルを1から10にしたまま戻し忘れると、配電側との保護協調が取れなくなります[6]。ダイヤルを3から1にしたままだと、通常の過負荷でもVCBが開いて停電するおそれがあります[6]。ある技術者は、瞬時要素をロックしたまま戻し忘れるのが最悪だとしています[6]。

現場で確かめること

  • タップ・時限ダイヤル・瞬時整定を試験前に記録したか[6][3]
  • 各倍率の理論動作時間を取説や特性曲線で把握したか[4]
  • 警報接点に配線があれば片側を外したか[7]
  • 盤の電流計切替スイッチを切にしたか[13][3]
  • 瞬時のロックやダイヤルを運用値に戻したか[6]
  • 外した配線とネジを元に戻したか[8]

実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。

よくある質問

Q.OCR試験の時限ダイヤルは運用値のままでよいですか?

A.試験時のダイヤルは、運用値のまま測る方法と1や10に変える方法があります[6]。研修動画では、使用前自主検査はダイヤル10で300%と700%を測ると説明しています[3]。どちらにするかは現場や設備によって判断が分かれ、変えた場合は戻し忘れに注意が要ります[6]。

Q.限時特性は700%まで測る必要がありますか?

A.ある整理では、300%と700%を公称値、200%と500%を参考値としています[9]。700%は過渡電流で正確に測りにくいとして、省く技術者もいます[9]。準拠規格で1000%が必要な機種もあるため、取扱説明書で確かめます[6][9]。

Q.瞬時要素の試験中に試験器が止まるのはなぜですか?

A.内部抵抗を1Ωや0.5Ωにして大電流を作ると、電源が過負荷で止まる例があります[10]。スライダックを回しても電流が増えなくなれば、止まる直前の兆候です[10]。ある技術者は、内部抵抗を0Ωにして試験電流を作り対処しています[10]。

Q.試験後の復電でVCBがすぐ開いたのはなぜですか?

A.変圧器の励磁突入電流やコンデンサの充電電流で、OCRの瞬時要素が働いた事例があります[10]。一般に、点検直後にVCBが開けば、短絡接地器具や試験配線の外し忘れや絶縁不良も考えられます。一般に、本当の事故が無いかを先に、現場の手順書と有資格者の判断で確かめてください。ある技術者は個人の見解として、整定値を確認したうえで同じ条件での再投入を挙げています[10]。技術者は整定値を確認して再投入し、再び開けば下位のLBSを開いてからVCBを入れます[10]。VCBやLBSの操作も、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

出典(このページのもとにした記事・動画)

本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。

  1. [1]【初めての年次点検】過電流継電器を安心して使う3つのステップとは?ゆうじの「電気保安の学校」(YouTube) / 2024年4月14日
  2. [2]過電流継電器 瞬時要素 動作電流・動作時間でんきメモ (memo-labo)
  3. [3]過電流継電器研修品計器付きぽんぽんタイガー(YouTube) / 2020年11月19日
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  12. [12]第1柱連動動作時間測定試験第二弾Denkikanri3y's Blog / 2025年5月21日
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