漏れ電流は、微量の電流を読み取れるリーククランプで測ります[1]。抵抗分のIorだけを知りたい場合は、電圧を取り込む専用のIor測定器が必要です[2][3]。出たり消えたりする漏電には、短い間隔で記録できるクランプロガーが向いています[4][5]。
普通のクランプメーターやテスターで漏れ電流は測れるのか
リーククランプで分かること、フィルタで変わる指示値
リーククランプのフィルタ機能は、インバータやスイッチング電源に由来する高周波成分を取り除きます[3]。ある資料によると、フィルタ有効時の帯域は180Hz(-3dB)で、漏電ブレーカーの帯域と同程度です[3]。別の技術者は盤接地線の電圧波形を観測し、kHz単位の成分が乗っていることを確かめました[1]。フィルタを無効にするとkHz単位の成分が加わり、漏れ電流の指示値は上がります[1]。
ただし、フィルタは静電容量分のIocまでは取り除けません[3]。ビル設備の技術者は、50/60Hz表示の機種でも電源周波数だけを拾うわけではないと指摘しています[8]。リーククランプの指示値は、絶縁の良否に関わるIorより大きく出ます[9]。
絶縁抵抗の測定が難しい低圧電路には、漏えい電流を1mA以下に保つ法令上の基準があります[3]。ビル設備の技術者は、Ior測定器を備えない職場向けに別の目安を示しています[9]。技術者の目安は、主幹でフィルタを有効にして10mA以下なら大丈夫というものです[9]。一般に、技術者個人が示す目安は、法令上の基準に代わるものではありません。
Ior測定器が要る場面と、測定器どうしの差
抵抗分のIorだけを測るには、リーククランプではなく専用の測定器を使います[3]。Ior測定器は電流と電圧の位相を見るため、電圧取込コードの結線が測定値を左右します[2]。
基準電圧の取り込み先は、機種や取込方式で異なります[2][9]。ある補助測定器は、単相回路ならR-N間、三相回路ならR-T間から基準電圧を取り込みます[9]。別の機種の接触式は、三相3線回路でR・S・Tの3本をつなぎます[2]。結線は、使用する機種の取扱説明書と現場の手順書に従ってください。
ある技術者は4月と10月の年2回、Ior測定器で各変圧器を測り、月次点検の値と比べています[6][10]。ある変圧器では、クランプメーターのIoが193mA、Ior測定器のIoが192mAでした[6]。同じ変圧器のIorは、Ior測定器が33mA、絶縁監視装置が28mAです[6]。別の事業場ではIor測定器が3.3mA、絶縁監視装置が3mAとほぼ一致しました[7]。技術者によると、ここまで合う例はまれで、数mAから10mAほど差が出ることもあります[6][7]。
ビル設備の技術者は、フィルタ有効時の指示値の60%程度が絶縁に関わる成分だと説明しています[8]。一方、前述の変圧器ではIoの193mAに対してIorは33mAでした[6]。変圧器の例を載せた資料に、測定時のフィルタ条件は書かれていません[6]。一般に、Ioに一定の割合を掛けてIorを求められるとは限りません。
ある技術者は、年2回の比較でIoとIorのふだんの関係を把握しています[6]。関係が分かれば月次はIo測定だけで絶縁管理できる、というのが技術者の考えです[6]。
現場の実例:出たり消えたりする漏電をロガーで捉える
ある月次点検で、ふだん5mA程度のB種接地線に100〜120mAが流れていました[11]。漏れ電流は50秒ほどで収まり、時間が経つと再び流れました[11]。技術者が回線を追うと押出機に行き着き、作業者は以前から調子が悪いと話しました[11]。絶縁監視装置は30秒の遅延設定と無線通信のタイムラグが重なり、発報に至らなかったとみられます[11]。
別の事業所では、技術者がB種接地線にクランプロガーを付けて2秒間隔で記録しました[4]。記録には、200mAほどの漏電が断続的に残っていました[4]。専用ソフトで時間軸を20秒に縮めると、約1分おきに10秒ほど続く漏電のまとまりが見えました[4]。漏電のまとまりは、20〜30分の間隔をあけて現れていました[4]。
技術者は間隔と大きさの規則性から、機器の制御動作に伴う漏電と推定しました[4]。次の手順として、工場の担当者に記録を渡して心当たりの回路を聞く予定です[4]。
間欠漏電は、駆けつけて測っても漏れ電流が出ていないことがあります[5]。調査には、サンプリングの速いロガーか最大値を記録できるロガーが適しています[5]。
測定器の仕様と使い方で起きる失敗
ある技術者は、買い替え候補のIor測定器のCTがΦ40までしかない点を理由に選定から外しました[12]。3線を一括で挟めない太い幹線について、ある資料は分割して測る方法を紹介しています[3]。資料の方法は、R相とS相の2線とT相を別々に測って差をとるものです[3]。同じ資料によると、クランプメーターの表示は実効値で、漏れ電流が0mAでも誤差が出る場合があります[3]。
一般に、実効値どうしの引き算には電流の位相が反映されません。一般に、負荷電流に比べて漏れ電流が小さいと、差は計器の誤差に埋もれます。差が小さくても漏電なしとは決めず、判定は現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。B種接地線を挟む方法なら、変圧器2次側より先の漏れ電流全体を測れます[3]。一般に、口径の大きいCTを備えた機種を選ぶ方法もあります。
Ior測定器は、周波数の設定を誤ると位相がずれて正しい値を示しません[2]。接触式の電圧クリップは、挟み方が甘いとノイズで指示値がふらつきます[2]。クリップは、電線のなるべく直線の部分に確実に挟みます[2]。ある技術者は、保護リレー試験器でIorとIocを作り出してIor測定器を校正しています[12]。
接地相で絶縁不良が起きても、対地電圧がないためIoの測定値には現れません[3]。資料は、遮断器を開放して絶縁抵抗計で測る方法を紹介しています[3]。開放の可否と手順は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。クランプメーターには使用できる電圧の区分があり、高圧充電部の測定は禁止事項に挙げられています[3]。測定箇所への近接を伴う作業も、手順書と有資格者の判断に沿って進めてください。
現場で確かめること
- リーククランプのフィルタを有効と無効のどちらで測ったか記録する[1][3]
- 挟む電線の太さに対してCTの内径が足りるか確かめる[12]
- Ior測定器の周波数設定と測定モードを回路に合わせる[2]
- 電圧クリップを電線の直線部分に確実に挟む[2]
- ふだんのIo値を控え、当日の値との差を見る[11][6]
- 間欠漏電が疑われるときはロガーの記録間隔を短くする[4][5]
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
Q.普通のクランプメーターで漏れ電流は測れますか?
A.一般に、負荷電流用のクランプメーターは微小な電流の読み取りに向かないため、リーククランプを使います。盤の接地線を流れる微量の電流は、リーククランプで値を読み取れます[1]。
Q.リーククランプのフィルタを入れればIorが分かりますか?
A.フィルタが取り除くのは高周波成分だけで、静電容量分のIocは残ります[3]。Iorだけを測るには、電圧を取り込む専用の測定器が必要です[2][3]。
Q.Ior測定器と絶縁監視装置の値が合わないのは故障ですか?
A.ある変圧器では、Ior測定器が33mA、絶縁監視装置が28mAでした[6]。数mAから10mAほどの差は珍しくありません[6]。技術者は、絶縁監視装置のセンサーケーブルの長さや敷設環境が影響した可能性を挙げています[6]。
出典(このページのもとにした記事・動画)
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