地絡継電器(GR・DGR)は高圧側の地絡を検出し、遮断器やLBSを開放させる継電器です[1][2]。漏電リレー(LGR)は低圧側に付き、資料の現場例ではブザーや警報音で知らせていました[3][4][5]。漏電遮断器は漏電を検知すると自身が落ち、人の手で復旧させる機器です[6]。
設置場所と動作先の違い
高圧の地絡継電器も低圧の漏電リレーも、ZCTで電流の不平衡を拾う点は共通です[7][3]。ZCTは三相一括で配線を通し、地絡で生じた電流の不平衡を二次側に出力します[7]。
高圧のGRは、高圧ケーブルや機器の地絡を検出して遮断器で遮断します[1]。ある技術者の記録では、2変送りケーブルのGRが動作してLBSが開放されました[2]。
低圧の漏電リレーは、変圧器二次の一括と回路ごとの2段で付いていた現場があります[3]。PF-S形キュービクルでは、電灯と動力の2バンクに漏電火災警報器が付いていました[8]。資料にある3件の現場では、漏電リレーの動作はブザーや警報音として現れました[3][4][5]。漏電遮断器は漏電を検知するとブレーカーが落ち、人が復旧させる必要があります[6]。
検出する電流の大きさと整定値
DGRの整定例は、零相電流0.2A・零相電圧5%・動作時間0.2sです[1]。GRの感度電流には、構内充電電流に応じて200mA・400mA・600mAから選ぶ目安があります[9]。地絡保護の協調は電流整定値ではなく動作時限でとり、時限の差は0.3秒以上が目安です[10]。サブ変電所がある設備では、受電盤GRを0.5秒、き電盤GRを0.2秒とする例があります[10]。
GRは、地絡が需要家の内部か外部かを区別できません[1]。DGRは零相電流と零相電圧の2つを使い、地絡電流の量と方向を判別します[1]。充電電流がGR感度電流の半分以上になる設備では、DGRを選ぶ目安があります[9]。GR感度電流が200mAの場合、充電電流100mA以上(6kVのCVT100sqでケーブル約60m以上)がDGRを選ぶ目安に当たります[9]。
低圧側では、漏電火災警報器の設定レンジが400mAだった現場があります[5]。漏電遮断器の定格不動作電流は、定格感度電流の50%です[6]。高速形の漏電遮断器は、定格感度電流の100%で0.1s、500%以上で0.04sの動作です[6]。400mAは高圧GRの0.2Aより大きく、数字だけでは高圧か低圧かを判別できません[1][5]。
ある技術者は、整定値を変える前に電力会社へ問い合わせるよう注意しています[10]。変更の可否は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
低圧の漏電リレーが鳴動した現場の調査例
ある電灯盤では、漏電リレーが朝から鳴ってはすぐ止まる状態になりました[4]。技術者がB種接地線の漏れ電流を測ると5mAほどで、異常は見えませんでした[4]。技術者はリレーの故障を疑いましたが、クランプメーターの値が一瞬だけ変化していました[4]。クランプメーターをMAX表示に切り替えると、短時間の大きな漏れ電流が記録されました[4]。
2人の技術者が分電盤で場所を探しましたが、当日は特定できませんでした[4]。後日、原因はフロアの照明回路だったと判明しています[4]。当日はイベントがあり、普段は使わない照明回路を使っていました[4]。
別の現場では、需要家から漏電警報器が鳴りっぱなしだと電話が入りました[5]。技術者が絶縁監視装置の値を遠隔で確認すると、警報が出る水準の電流は見られませんでした[5]。現地で測ったB種接地線の漏れ電流は18.1mAで、設定レンジの400mAに届いていません[5]。技術者は誤報と判断し、回路復帰ボタンを押して警報を止めました[5]。
高圧のGRが動作したのに構内で地絡箇所が見つからなかった現場例
高圧のGRは、自社構内に地絡がなくても動作することがあります[11]。ある現場では、近くの建物の高圧地絡でGRが動作し、LBSが開いて停電しました[11]。技術者は、地絡電流の一部が大地を経て自社構内の対地静電容量に流れ込んだと推測しています[11]。停電した現場のGRは、リレー試験も連動試験も正常でした[11]。
次の2変送りケーブルの事例は原因が未確定で、地絡が実際に起きていた可能性も残ります[2]。2変送りケーブルのGRが動作した現場では、メガー測定もシースの絶縁も良好でした[2]。ところが復電すると、GRが再び動作してLBSが開放されました[2]。記録者が挙げた確認先は、零相電圧の検知状況・GR単体試験・トリップコイルの抵抗値です[2]。ケーブルシースの両端接地を片端接地に直して様子を見る案も出ています[2]。
ZCTの前後2か所でケーブルのシールド層を接地すると、電位差でシールド層に電流が流れます[12]。シールド層に流れた電流で、継電器のIoランプが点灯する場合があります[12]。再送電の可否や接地の変更は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
試験のやり方の違い
高圧の地絡継電器の試験では、動作電流値が整定値の±10%に入るかを確かめます[13]。0.2A整定なら、合格範囲は0.18Aから0.22Aです[13]。0.2s整定の動作時間は、整定値の130%を流して0.1〜0.3sが判定基準です[9][13]。遮断器まで動作させる試験では、引き外し用電源の電源元と分岐先に注意が要ります[1]。継電器のZ1・Z2・Y1・Y2・M・Nの各端子へ試験電圧や試験電流を直接加えると、継電器が焼損する可能性があります[14]。
低圧の漏電リレーは台数が多く、一括6台と回路ごと約50台を試験した現場があります[3]。漏電リレーの盤と変圧器が離れていたため、ZCTへ直接電流を流す試験は困難でした[3]。400V系の変圧器は中性点で接地されており、S相と対地間では試験器の出力が不足しがちです[3]。技術者は変圧器側でS相と中性点端子を短絡し、2バンクのS相どうしに電流を流しました[3]。試験中はブザーが毎回鳴るため、技術者は離線して1台ずつ試験しました[3]。
短絡や離線を伴う試験の手順は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
図面や盤での見分け方
現場で確かめること
- ZCTが高圧ケーブルを貫通しているか、変圧器二次側に付いているか[12][3]
- 動作先がLBS・遮断器のトリップか、ブザー・警報か[2][4]
- 高圧GRの感度電流と動作時限、構内の高圧ケーブル長[9][10]
- ケーブルのシールド層が2点で接地されていないか[12]
- 漏電リレー鳴動時はB種接地線の漏れ電流をMAX表示でも測る[4]
- 漏電火災警報器の設定レンジと実測値の差[5]
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
Q.GRとDGRはどう使い分けますか
A.GRは地絡が構内か構外かを区別できず、DGRは構内の地絡だけで動作します[1]。充電電流がGR感度電流の半分以上になる設備では、DGRを選ぶ目安があります[9]。
Q.高圧ケーブルが長いとGRがもらい動作するのはなぜですか
A.6kVのCVT100sqが124m以上あると、充電電流は200mA以上になります[9]。GRが200mA整定の場合、電源側の地絡で不必要動作をする可能性があります[9]。
出典(このページのもとにした記事・動画)
本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。
- [1]地絡方向継電器 67 原理、目的、試験方法、整定値でんきメモ (memo-labo)
- [2]送りケーブルのGRが動作しLBS解放。原因は?でんきメモ (memo-labo)
- [3]400V系回路の変圧器二次漏電リレー試験とある電気管理の位相 / 2025年2月5日
- [4]漏電リレー鳴動点検日和 / 2012年6月11日
- [5]漏電火災警報器が発報!?調べてみたら……森電気管理事務所 / 2025年4月23日
- [6]ELB 漏電遮断器とは?原理、選定、仕組みでんきメモ (memo-labo)
- [7]ZCT 零相変流器とは?仕組み、配線、選定でんきメモ (memo-labo) / 2007年1月1日
- [8]LGR、ELR、漏電リレー、漏電火災警報器なんて呼ぶものの試験とある電気管理の位相 / 2025年2月25日
- [9]GR 地絡継電器 原理、目的、試験方法、整定値、設置基準でんきメモ (memo-labo)
- [10]地絡継電器の保護協調と慣性特性でんきメモ (memo-labo)
- [11]もらい事故・他需要家の地絡事故でケーブル対地静電容量による電流でGR動作でんきメモ (memo-labo)
- [12]多点接地、循環電流による地絡継電器の誤動作でんきメモ (memo-labo) / 2013年1月1日
- [13]地絡方向継電器の判定基準でんきメモ (memo-labo)
- [14]方向地絡継電器の事故・トラブルでんきメモ (memo-labo)