一般に、交流用のCT式クランプは磁束の変化で電流を測るため、直流の漏れ電流は読めません。太陽光の直流側には漏電遮断器がありません。パワコンが2線の電流差などから直流地絡を検出しています[1]。一般に、点検者が測るときは直流対応クランプで2線を一括で挟み、差分を読みます。名前の似た高圧ケーブルの直流漏れ電流試験は、直流高電圧をかけて劣化を診断する別の試験です[2][3]。
交流用の漏れ電流クランプで直流が測れない理由
一般に、CT式のクランプは電流が作る磁束の変化で二次巻線に電流を誘起させて測ります。一般に、直流は磁束が一定で変化しないため、CT式では指示がほとんど出ません。低圧の絶縁監視でも、Io方式はB種接地に帰る漏れ電流をCTで捉える仕組みです[4]。
交流用クランプのフィルタ機能は、有効時の帯域が180Hzに設定されています[5]。フィルタ有効時の帯域は一般的な漏電ブレーカーと同等で、不要な高周波成分を除いて表示します[5]。ある技術者は、盤接地線まわりの電圧波形にkHz帯の成分を観測し、LPFを無効にするとこの成分が加わって漏れ電流の指示値が上がると考察しています[6]。
太陽光パネルからパワコンまでの直流側には、漏電遮断器がありません[1]。代わりにパワコン内部の直流地絡検出が、直流側の漏れを見張っています[1]。DC110Vの制御回路にも、直流地絡継電器(64D)が設けられています[7]。一般に、常設の保護とは別に点検者が数値を確かめるには、直流対応の測定器が要ります。
直流対応クランプ(ホール素子式)での測り方
一般に、ホール素子式は磁束の大きさそのものを検出するため、直流も交流も測れます。一般に、直流レンジは地磁気や残留磁気の影響を受けるので、測定前のゼロ調整が欠かせません。
直流地絡が起きると、プラス線とマイナス線の電流に差が出ます[1]。パワコンは2線の電流差を捉えて地絡と判定し、発電を止めてエラーを表示します[1]。一般に、クランプでも2線を一括で挟めば往復の電流が打ち消し合い、漏れの分だけが残ります。
太い幹線を一括で挟めないとき、交流では線を分けて測り、差を取る方法があります[5]。
ある技術者は、直流クランプを太陽光の発電電流や蓄電池・充電器の電流測定に使っています[8]。蓄電池や充電器は電流が小さいので、同じ技術者は小さいレンジの校正を重視しています[8]。校正には直流電源装置の出力を電流源として使いました[8]。
クランプメーターにはクラスがあり、指定された電圧以下で使う決まりです[5]。一般に、太陽光の直流回路は電圧が高いことがあります。測定器の定格や保護具の選び方は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
値の読み方と、小さく出たときの注意
一般に、直流クランプは電流の向きを正負の符号で表示します。地絡がプラス側かマイナス側かは、対地電圧から判断できます[7]。パワコンも、P・N各線と接地間の電圧バランスで地絡を見ています[1]。
交流では、接地相の絶縁不良は対地電圧が0Vのため漏電にならない例があります[5]。接地相の不良ではクランプで1mAを超えず、遮断器を開いてメガで測ると見つかります[5]。一般に、直流回路でも地絡点の対地電位が低ければ、漏れ電流は小さく出ます。
太陽光の直流回路の絶縁不良には、絶縁抵抗測定が有効です[9]。一方で、探査を早めるためにあえて地絡電流を流す方法もありますが、事故点探査は電気主任技術者が安全措置を講じて行うものです[9]。
交流側の事例ですが、ある技術者は事業所の間欠的な漏電をクランプロガーで調べました[10]。B種接地線を2秒間隔で記録すると、200mA程度の漏電が断続していました[10]。時間軸を縮めると、約1分おきに10秒ほどの漏電が20〜30分の間隔で現れていました[10]。規則的な出方から機器の制御時の発生と見て、工場の担当者にデータを提供して調べる予定としています[10]。
現場の実例:直流地絡の模擬によるパワコン動作の確認と、地絡点探査の構想
ある技術者は、DC110V制御回路の64Dで継電器試験を行っています[7]。同じ技術者は、太陽電池発電所のDCモジュール回路でも地絡点探査を考えました[7]。手順は、まず電圧から地絡の極性を判断し、簡易なループ回路を作るものです[7]。そこへ試験周波数を重畳させて、地絡点を探す方式を目指しています[7]。
模擬試験では2kΩの抵抗で地絡させ、パワコンが動作しました[7]。同じ技術者は、一般的な検出地絡抵抗は6〜10kΩが多いと見ています[7]。
電位差のある2か所以上で直流地絡が起きると、パワコンが止まっても危険は残ります[1]。パネルが光を受けている間は、地絡点を通る循環電流が流れ続けるためです[1]。また、パワコンは地絡が解けると自動で復帰します[1]。一般に、到着時に正常運転していても、エラー履歴の確認が手がかりになります。
日中の直流回路は、停止操作だけで無電圧になるとは限りません。作業の方法は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
高圧ケーブルの直流漏れ電流試験との違い
名前は似ていますが、高圧ケーブルの直流漏れ電流試験はケーブルの劣化診断です[2][3]。試験器で導体と遮蔽層の間に直流高電圧をかけ、漏れ電流の時間変化を記録します[2]。一般に、クランプでの直流漏れ電流測定は運転中の回路の漏れを見るもので、目的も機器も異なります。
判定には成極比を使い、電圧印加1分後の漏れ電流を最終値で割って求めます[3]。1以上は良、0.5〜1は要注意、0.5以下は不良という区分です[3]。直流は充電電流がほぼ出ないため、静電容量の大きいケーブルでも試験器の容量内で試験できます[3]。ただし直流耐電圧試験は実用の交流波形と違うため、交流耐電圧試験より信頼度は低いという評価もあります[2]。
試験後は被試験物に電荷が残り、交流用の検電器は反応しない点に注意が要ります[3]。ある解説では、自然放電で5kV程度まで待ってから放電抵抗棒を使う手順を示しています[3]。実際の手順と安全措置は、試験器の取扱説明書と現場の手順書に従ってください。
活線で行う診断としては、直流成分法もあります[2]。水トリーの整流作用で生じる直流電流を、遮蔽層の接地線から捉える方法です[2]。
現場で確かめること
- 測定器が直流(DCA)レンジに対応しているか
- 測定前にゼロ調整を済ませたか
- プラス線とマイナス線を一括で挟んでいるか
- 測定器のクラスと回路の電圧が合っているか[5]
- パワコンのエラー表示や停止履歴に地絡の記録がないか[1]
- 値が小さくても絶縁抵抗測定で裏付けを取ったか[9]
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
Q.交流用のリーククランプで直流の漏れ電流は測れますか?
A.一般に、CT式の交流用クランプは直流の漏れ電流を検出できません。一般に、直流回路では直流対応クランプでプラス線とマイナス線を一括で挟みます。パワコン内部の地絡検出も、2線の電流差を見る仕組みです[1]。
Q.太陽光の直流側の漏電は何で検出していますか?
A.パネルからパワコンまでの直流側には漏電遮断器がありません[1]。パワコン内部の直流地絡検出が、接地に流れる電流や対地電圧のバランスで地絡を見ています[1]。
出典(このページのもとにした記事・動画)
本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。
- [1]パワコンの保護機能(過電流・直流地絡・直流分検出)でんきメモ (memo-labo) / 2025年1月1日
- [2]高圧ケーブルの保守・点検方法佐近電気管理事務所
- [3]直流耐圧試験の方法、判定基準、メリットでんきメモ (memo-labo)
- [4]高圧機器種々の点検方法・劣化診断佐近電気管理事務所
- [5]クランプメーター・漏れ電流測定、原理、使い方でんきメモ (memo-labo)
- [6]これ盤接地線の電流波形じゃない?電験・電気管理(denken333) / 2019年2月22日
- [7]直流地絡を模擬して遊ぶ電気管理技術者の交流掲示板 / 2022年7月25日
- [8]直流クランプメーターの校正試験Denkikanri3y's Blog / 2025年3月4日
- [9]漏電探査電気管理技術者の交流掲示板 / 2022年7月19日
- [10]クランプロガーでB種接地線漏れ電流測定Denkikanri3y's Blog / 2026年9月7日