キュービクルの月次点検は、外観点検と、電圧・負荷電流・漏れ電流・温度の測定点検で構成されます[1]。測定するのは電圧・負荷電流・B種接地線の漏れ電流・機器の温度です[1]。ある技術者は、キュービクルの確認に入るとまず絶縁監視装置のテストボタンを押して、信号が届くかを確かめています[2]。月次点検で8Aを超える漏れ電流が見つかり、原因を調べて配線の交換につながった例もあります[3]。
月次点検の頻度と現場で回る順番
外観・異音・異臭・温度の確認
外観点検で見るのは、引込設備や受電設備だけではありません[1]。受配電盤・接地工事・構造物・発電設備・蓄電池設備も対象です[1]。一般に、扉を開ける前に箱体の傷みや周りの状況を外から確かめておきます。
ある事務所の点検表では、計器用変成器・変流器・零相変流器の本体を見る項目を設けています[4]。見る点は損傷や亀裂、異音・異臭・汚損と、接地線の外れや断線です[4]。同じ点検表は、電力ヒューズの溶断表示も確認項目に入れています[4]。高圧充電部の保護カバーが付いているかも点検します[4]。
盤面では、電圧計・電流計の指示状態と表示灯の不点を見ます[4]。保護継電器には、整定値と動作表示を確かめる項目があります[4]。
接続部については、変色・過熱・ゆるみが点検項目です[4]。ただし同じ点検表では、過熱・ゆるみの欄に「-」の付いた点検区分があり、変色とは扱いが異なります[4]。測定点検では、放射温度計を使って高圧機器の本体や接続部の温度を測ります[1]。
ある技術者は、熱や振動による端子の緩みを、保安が無い場合に積み重なるリスクに挙げています[5]。一般に、月次点検は通電したまま行うため、接続部は離れた位置からの目視と温度測定が中心になります。ゆるみの確認や増し締めは停電して行う点検に回し、手順は現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。高圧充電部に近づいて確認するときも、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
電圧・電流・漏れ電流の測り方
電圧はテスターや電圧計で測り、負荷電流は電流計で測ります[1]。絶縁の状態は、変圧器二次側のB種接地線に流れる漏れ電流で確かめます[1]。一般に、Iorは漏れ電流のうち絶縁抵抗に起因する成分を指します。
ある技術者は月次点検でクランプメーターを使い、B種接地線のIoを測っています[6]。あわせて絶縁監視装置のテストボタンを押し、通信試験とIorの確認を兼ねています[6]。年に2回ほどは、Iorリークテスターの値をクランプや監視装置の値と比べています[6]。
ある事業場では、クランプによるIoが26.7mAでした[6]。リークテスターはIo26.9mA・Ior3.3mAを示しました[6]。絶縁監視装置の表示もIo27mA・Ior3mAで、3つの値がほぼ一致しました[6]。ただし、同じ技術者は数値がここまで合うのはまれだと述べています[6]。差の大きさを把握しておけば、相対値で絶縁管理や警報対応ができるという考え方です[6]。
別の記録では、IoクランプはIocという静電容量分を含むため、正確な値が出ないと指摘しています[1]。この記録はIorクランプリーカーの使用を勧めています[1]。
ある現場では、絶縁監視装置のテスト値がエラーのように見えました[2]。そこで技術者がクランプで測り直すと動力は23.1mAで、装置の値とほぼ合っていました[2]。また、漏電遮断器や警報が動いていなくても、絶縁不良が無いとは限りません[7]。
実例 月次点検と警報で見つかった漏電への対応
ある工場の月次点検では、8.02Aという大きな漏れ電流が見つかりました[3]。原因は機械本体ではなく、使われていた古い配線の絶縁不良でした[3]。後日お客様が配線を交換し、技術者は漏れ電流が収まったことを確かめました[3]。
別の技術者は、夜間に絶縁監視装置から測定範囲を超えたという警報を受け、翌日に対応しました[8]。キュービクルで測ると、3Aを超える漏れ電流が流れていました[8]。分岐回路が1極のブレーカーだったため、停電せずに探査することは困難でした[8]。技術者はお客様と5分ほどの停電を交渉し、メガで不良回路を絞り込みました[8]。健全な回路はすぐ復電し、不良は給湯室・洗濯室の電灯回路でした[8]。
間欠的な漏電を追った例では、ブレーカーからコンセントまでの配線が0MΩでした[9]。改修後の月次点検で聞くと、天井内の工事でビスが配線を貫いて焦げていたそうです[9]。
短時間の間欠漏電は、絶縁監視装置では捉えにくいという指摘もあります[10]。ある技術者はクランプロガーで1分ごとに記録し、10〜15分間隔の漏電を見つけました[10]。そのうえで年次点検の絶縁抵抗測定を行い、ブレーキ付きモーターの不良を特定しました[10]。停電を伴う調査や絶縁抵抗測定は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
記録とお客様への報告
ある技術者は、年2回ほど3種類の測定器の値を比べ、差が無いことを確かめて記録に残しています[6]。月次点検の報告書の保存期限は3年間です[1]。雨の日の点検で、濡れに強いユポ紙にメモし、あとで成績書へ転記した例もあります[11]。
ある技術者は年次点検でモーターの不良を見つけた際、工場の立会者に報告して取替を依頼しました[10]。同じ技術者は、断線に進めば設備が止まるおそれがあるとも伝えました[10]。警報が出たときに到着前に担当者へ電話し、怪しい機器を探してもらった例もあります[12]。その結果、不良回路の特定が早まりました[12]。ある技術者は、次の月次点検で依頼した改修が済んだかをお客様に確かめています[9]。
現場で確かめること
- 絶縁監視装置のテストボタンを押し、信号が届くか確かめる
- 変成器・変流器に損傷・異音・異臭・汚損がないか見る
- 接続部の変色を離れた位置から目で見て、放射温度計で温度を測る(ゆるみの確認や増し締めは停電して行う点検で)
- 電圧・負荷電流・電力量を記録する
- B種接地線のIo・Iorを測り、前回値や監視装置の値と比べる
- 前回依頼した改修が済んだかをお客様に確認する
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
Q.キュービクルの月次点検はどのくらいの頻度で行いますか?
A.原則は毎月1回です[1]。絶縁監視装置を設置していれば隔月に、受電電力50kW未満の設備なら3か月に1回に省略できます[1]。外部に委託している場合は、省略を保安規程に書いておく必要があります[1]。
Q.月次点検で使う測定器は何ですか?
A.ある記録では、テスター・Ioクランプメーター・Iorクランプリーカー・放射温度計を挙げています[1]。ある技術者はさらに、年2回ほどIorリークテスターで値を比べています[6]。
Q.漏電遮断器が落ちていなければ絶縁は問題ありませんか?
A.漏電遮断器や警報が動いていなくても、絶縁不良が無いとは限りません[7]。短時間の間欠漏電は、絶縁監視装置では捉えにくいことがあります[10]。ある技術者はクランプロガーで漏電の発生間隔をつかみ、年次点検の絶縁抵抗測定で原因の機器を特定しました[10]。
出典(このページのもとにした記事・動画)
本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。
- [1]月次点検とは?点検内容、見積り金額でんきメモ (memo-labo)
- [2]電気管理技術者の日常~月次点検編1でんます / 2022年1月12日
- [3]綾瀬市の工場で月次点検中に大漏電発見!原因は新設の機械?!ではなく………森電気管理事務所 / 2026年9月26日
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