高圧の地絡事故は、PASやVCTの絶縁不良のほか、ネズミや蛇の接触でも起きています[1][2][3][4][5]。GRやSOGで停電したら、区間を分けてハイボルトメガーで絶縁を測り、事故点を絞り込みます[2][5]。DC1000Vのメガーで良好でも、ハイボルトメガーで測るとVCTが0Ωだった例があります[5]。絶縁が良好なのにGRが動いた場合は、もらい事故や継電器側の不具合も疑います[6][7]。
地絡事故の原因になりやすい箇所
一般に、地絡事故は高圧の充電部が大地と電気的につながり、電流が大地へ流れる事故です。現場の記録では、PASやVCTのほか、小動物の侵入が原因として出てきます[1][2][3][5]。
SOGでPASが開いた事故を探査した技術者は、PASを原因と疑いました[2]。同じ技術者は、避雷器内蔵のPASが事故原因になりやすく、波及事故も多いと述べています[2]。ただし避雷器の要否を考える際にも、電技解釈の遵守は前提です[2]。VCTでは、DC6000Vのハイボルトメガーで測って初めて0Ωの不良が分かった例があります[5]。
ネズミや蛇などの小動物による地絡も、複数の現場で記録されています[1][8][3][4]。ネズミの地絡事故があった事業場では、年次点検の停電時に床へパンチング板を張りました[1]。
実例:蛇やネズミで停電した現場の対応
ある工場では13時11分にPASがトリップし、SOGに地絡のG表示が出ました[3]。工場から全停電の連絡が入ったのは、29分後の13時40分です[3]。変電所側ではV01が検出されませんでした[3]。一方で配電線の地絡検出機能付き開閉器は、微地絡の繰り返しを捉えていました[3]。
技術者が14時20分に測った絶縁抵抗は200MΩでした[3]。技術者は数値が良好でも実事故と判断し、14時40分にAC11,000Vの耐圧試験を行い合格しました[3]。原因は蛇などの接触と推定され、蛇は死なずに逃げたと見られています[3]。15時10分に電力会社へ受電を連絡し、受電は良好でした[3]。
別の地絡事故では、V01の記録で約3〜22%の地絡レベルが出ていました[4]。AC11,000Vの耐圧試験は合格でしたが、蛇が充電部から離れていたための合格でした[4]。技術者は耐圧試験のあとの目視点検で、蛇を見つけています[4]。耐圧試験に合格しても、原因が取り除かれたとは限らない例です[4]。
別の工場では原因がすぐに分からず、工場の人が集まる中で点検を続けました[8]。外観点検でキュービクルの床に感電死したネズミが見つかり、下部には小さな隙間がありました[8]。停電は約2時間続き、技術者は工場の幹部から早く送電するよう強く求められました[8]。送電しても、工場の生産はすぐには再開できなかったと語られています[8]。
GR・SOG動作後に事故点を探す手順
一般に、事故点探査では開閉器や遮断器で回路を区切り、区間ごとに絶縁を確かめて範囲を狭めます。ある探査では、PAS2次からVCTと高圧ケーブルまでの絶縁抵抗が8kΩでした[2]。技術者は絶縁不良を確かめるために耐圧試験を行い、電圧は2,000Vより上がりませんでした[2]。
ある記録では、DC1000Vメガーの測定が10MΩで、問題なしと判断されました[5]。ところがDC6000Vのハイボルトメガーで測り直すと、VCTが0Ωでした[5]。GR動作後に1000Vの測定で良しとし、再投入で波及事故になった例は過去に何度もあります[5]。記録した技術者は、GR動作後の調査はハイボルトメガーで行うべきだとしています[5]。
年次点検でもDC1000Vで8MΩ、DC6000Vで1MΩと、電圧によって値が変わった例があります[5]。不良判定が出た場合は、管轄の電力会社に状況を伝えて対応を相談した例があります[5]。
絶縁が良好なのにGRが動いたとき
ある需要家ではGRが動作してLBSが開き、構内が停電しました[6]。MDSは電力会社から送電されており、LBSの1次側も受電した状態でした[6]。技術者は、1次側の地絡なら再送電で再び停電するはずだと考えました[6]。LBS2次側の絶縁抵抗は良好で、GRのリレー試験も連動まで正常でした[6]。技術者は、近くの建物の地絡事故によるもらい事故と推測しています[6]。
もらい事故では、他の地絡点へ向かう電流が自社の対地静電容量から流れ出し、ZCTを通ります[6]。構内で対地静電容量が最も大きいのは高圧ケーブルで、短く細いほど起きにくくなります[6]。
送りケーブルのGRでは、メガーもシースも良好なのに、復電で再び開放した例があります[7]。記録した技術者は、まず電力会社にV0を検知したかを確かめるとしています[7]。ほかの確認先は、シースの両端接地やGR本体とトリップコイル、ZCTのl端子の接地です[7]。雷サージや誘導障害も、GRの不必要動作の要因に挙がっています[9]。
200MΩでも実事故と見て、耐圧試験まで行った現場があります[3]。一方で、絶縁と継電器試験が良好なことから、もらい事故と判断した現場もあります[6]。現場や設備によって判断が分かれるため、再送電の可否は有資格者が状況を見て決める必要があります。
PASを入れたままSOG制御装置を試験すると、配電線の残留電圧が重なり正常に動かないことがあります[9]。残留電圧が大きいときは、開閉器を開いて影響を除いてから試験します[9]。
再送電の前に確かめること
一般に、再送電は事故原因を取り除き、作業者の安全を確かめてから行います。ある波及事故では、断路器1次側のアースフックを外し忘れたまま復電し、短絡が起きました[10]。主任技術者は、工事会社の作業が終わったかを確かめずにPASを投入していました[10]。
この事故の記録では、PASやVCBの操作を操作者と監督者の2人で行うことを対策に挙げています[10]。DSを入れて受電設備を一括で測ると、接地が残っていれば絶縁抵抗は0を示します[10]。投入直後に破裂音や煙が出た場合は、すぐにPASを開く対応が示されています[10]。
事故後に受電する際、電力会社へ連絡してから受電した例があります[3]。検電や接地、再送電の操作は、現場の手順書と有資格者の判断に従って進めてください。
現場で確かめること
- SOGやGRの表示と、PAS・LBSの開閉状態を記録したか
- 電力会社側でV0(地絡)を検出したか問い合わせたか
- 区間ごとにハイボルトメガーで絶縁抵抗を測ったか
- キュービクル内に小動物の死骸や侵入できる隙間がないか
- ZCTやケーブルシースの接地方法に誤りがないか
- 短絡接地器具を外し、工事の終了を工事会社と確認したか
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
Q.SOGのG表示でPASが開いたら、まず何を確認しますか?
A.ある現場では、絶縁抵抗の測定と耐圧試験で構内を確かめ、電力会社へ連絡してから受電しました[3]。配電線側の地絡検出の記録も、判断の材料になっています[3]。実際の手順は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
Q.1000Vメガーで絶縁が良ければ再送電してよいですか?
A.DC1000Vで10MΩだった回路が、DC6000Vで測るとVCTで0Ωだった例があります[5]。1000Vの測定で良しとして再投入し、波及事故になった例も繰り返し起きています[5]。再送電の判断は、有資格者が慎重に行ってください。
Q.キュービクルの小動物対策は何をすればよいですか?
A.キュービクルの床でネズミが感電死しており、下部にはネズミが入れそうな小さな隙間があった例があります[8]。ネズミによる事故のあと、全キュービクルにパンチング板を張った事業場もあります[1]。
出典(このページのもとにした記事・動画)
本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。
- [1]キュービクルの小動物対策Denkikanri3y's Blog / 2026年6月11日
- [2]地絡事故探査を行う電気管理技術者の交流掲示板 / 2022年9月20日
- [3]地絡によりPASトリップ電気管理技術者の交流掲示板 / 2026年6月5日
- [4]地絡事故電気管理技術者の交流掲示板 / 2023年7月24日
- [5]絶縁抵抗測定で印加電圧を間違い事故でんきメモ (memo-labo)
- [6]もらい事故・他需要家の地絡事故でケーブル対地静電容量による電流でGR動作でんきメモ (memo-labo)
- [7]送りケーブルのGRが動作しLBS解放。原因は?でんきメモ (memo-labo)
- [8]【警告】もし電気保安がなかったら?停電・火災・命の危険・・・ゆうじの「電気保安の学校」(YouTube) / 2025年8月7日
- [9]方向地絡継電器の事故・トラブルでんきメモ (memo-labo)
- [10]アースフックの取り外し忘れで復電し短絡事故⇒波及事故でんきメモ (memo-labo)
- [11]高圧ケーブルの絶縁抵抗測定、絶縁耐力試験電気管理技術者の交流掲示板 / 2022年12月27日
- [12]ある電気管理技術者が高圧ケーブル耐圧試験をしたよ 片側接地と両端接地の電流(電気主任技術者)こんな僕でも電気管理技術者(YouTube) / 2021年2月23日