LBSは、ヒューズが溶断するとストライカがラッチを外し、三相をまとめて開放する開閉器です[1]。点検では、開閉動作とストライカ引外し機構が実際に動くかを確かめます[2]。ラッチローラーへの注油は、固着を招いた記録と動きが戻った記録があり、判断が分かれます[3][4]。ヒューズ交換や開閉操作は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
LBSの構造とストライカ引外しの仕組み
ヒューズが溶断していたときに調べること
LBSがヒューズ切れで開放されていたら、交換の前に溶断の原因を調べます[5]。高圧コンデンサ用のLBSでは、ある技術者はコンデンサ本体を調べています[5]。コンデンサが相間短絡していると、新しいヒューズも再び溶断するおそれがあります[5]。調べ方は、テスターでRS・ST・TRの3か所の静電容量を測る方法です[5]。相間短絡があれば、3か所の値に差が出るはずだとされています[5]。
一次側が充電されたままヒューズを交換してはいけない、と資料は明記しています[5]。充電部に近づく作業になり、感電のおそれがあるためです[5]。ある技術者は、一括受電マンションで共用動力用変圧器のヒューズが溶断した場面を例に挙げています[5]。全館を停電させるか、充電状態で交換するかという問いです[5]。
別の電気管理技術者は、安全優先を基本とし、無停電での交換は断ると答えました[5]。古いLBSは絶縁が低下している場合があり、開放中でも安全とは言い切れないためです[5]。停電の範囲と段取りは、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
実例:ラッチローラーの固着と注油の経過
ある技術者は、2010年製の富士電機製LBSでラッチローラーの固着を追い続けました[6]。初年はパーツクリーナーで洗い、グリースメイトを注油しています[6]。1年後に固着が再発したため、技術者は油をフッ素オイルに替えました[6]。2年目もローラーは固く張り付いたままでした[6]。
翌年、技術者は割りピンを抜いてローラーを分解しました[7]。ローラーを抜いた軸はべたつき、内部のベアリングは固着で回りませんでした[7]。パーツクリーナーをかけて綿棒で動かすと、ベアリングは回るようになりました[7]。技術者は洗浄後にベルハンマーゴールドを塗り、再発したら次回は洗浄だけにする考えです[7]。
同じ技術者が各社の取扱説明書を見直すと、指示はローラーが当たる面へのグリス塗布でした[3]。ローラー自体への注油を書いていたのは、見た範囲では古い東芝製だけです[3]。技術者自身が過去に5-56を吹いており、固着の原因は過去の注油にあると見ています[3]。5-56などの潤滑剤は1か月ほどでべたつくためです[3]。
別の技術者は、動きの悪いLBSでトリップフックが掛かるリングにフッ素オイルを注油しました[4]。注油後のLBSは新品のように切れよく開放しています[4]。連動試験で開極が遅いときに、摺動部へCRCを吹いて再試験する記録もあります[8]。注油の可否と油種は、現場や設備によって判断が分かれます。メーカーの取扱説明書を確かめたうえで決めてください。
原因が接触刃だった例もあります[9]。2007年製のエナジーサポート製LBS7台は、ほぼ全台の動作に引っ掛かりがありました[9]。ローラーに固着はなく、原因は接触刃に塗られたグリスの劣化でした[9]。技術者がウエスで刃の表面を拭くと、LBSは普通に動くようになりました[9]。
実例:固定ピンを外さず運用していたLBSと開閉操作の注意
新品のLBSは、運搬時の振動対策として固定ピンやインシュロックで固定されています[2]。ある記録には、固定を外さないまま運用していた例が載っています[2]。固定が残っていた現場では、停電点検でもLBSを開放していませんでした[2]。ヒューズ溶断で負荷に異常が出て、初めて固定の残りが発覚しました[2]。
固定されたLBSは、ヒューズが切れてもストライカで開放できません[2]。溶断していない相だけに電圧がかかり、欠相状態での運用になります[2]。相間短絡では上流のVCBが動作し、全館停電に至るおそれがあります[2]。PF・S形では波及事故につながる可能性も指摘されています[2]。竣工検査・交換工事・年次点検では、開閉動作とストライカ引外し機構を必ず試します[2]。
負荷に給電したままLBSを開放すると、音・光・熱を伴うアークが出ます[1]。変圧器二次側のMCCBをすべて切っておけば、アークは最小限に抑えられます[1]。古いLBSは開閉の動きが遅くなり、アークで刃が傷むおそれがあります[2]。LBSの開閉回数には200回という限度があります[2]。耐用年数を過ぎたLBSは、開閉しない方がよい場合もあるという意見です[2]。
投入状態のまま清掃中にラッチへ触れ、LBSが勢いよく開いた事例もあります[1]。ある技術者は、点検清掃中はLBSを開いておくよう勧めています[1]。受電状態での開閉や清掃の手順は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
相間バリアと老朽LBSの短絡事故
ある記録では、1984年製のLBSが復電直後に一次側で短絡しました[2]。点検後にモールドジスコンを投入し、数十秒後に大きな音がしています[2]。LBSの前にいた作業者はアークで火傷を負いました[2]。
記録が挙げる対策は、扉を閉めて受電し、受電後もしばらく待機することです[2]。同じ記録は、正面へのアクリル板と相間バリアの設置、古い本体の更新も勧めています[2]。復電時の立ち位置と手順は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。
相間バリアは、ヘビ・ヤモリ・ネズミ・ツタによる相間短絡を防ぐ部品です[10]。モールドジスコンとPF・S形の組み合わせでは、LBSの上流に保護装置がありません[10]。LBSで相間短絡が起きると、波及事故に発展する可能性があります[10]。相間バリアはLBSのオプション品で、希望小売価格は約13,000円程度です[10]。ある技術者は、新築のPF・S形でバリアが無ければ最初に指摘するとしています[10]。
現場で確かめること
- 開閉動作とストライカ引外し機構が実際に動くか[2]
- 運搬用の固定ピンやインシュロックが残っていないか[2]
- ラッチローラーと接触刃に固着やグリスの劣化がないか[7][9]
- 取扱説明書が指定する注油箇所と油種[3]
- 相間バリアと正面の保護板の有無[10][2]
- LBSの製造年と更新の要否[2]
実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。
よくある質問
Q.LBSのラッチローラーに5-56(CRC)を吹いてもよいですか
A.ある技術者は、5-56は1か月ほどでべたつき固着の原因になると見ています[3]。摺動部にCRCを吹いて再試験する記録もあり、現場や設備によって判断が分かれます[8]。各社の取扱説明書にローラー自体への注油指示はほぼ無いため、まず取扱説明書を確かめます[3]。
Q.GRとの連動試験でLBSのトリップコイルが焼損するのはなぜですか
A.補助スイッチの無いLBSに手動復帰の地絡継電器を組むと、動作後も接点が閉じたままです[11]。LBSが開いてもトリップコイルに電圧がかかり続け、コイルが焼損するおそれがあります[11]。対策は補助スイッチの追加か、継電器の復帰方式を自動へ切り替えることです[11]。
出典(このページのもとにした記事・動画)
本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。
- [1]LBS 限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器 JIS C 4611でんきメモ (memo-labo)
- [2]LBSの注意点でんきメモ (memo-labo)
- [3]LBSのラッチローラーは基本注油しないとある電気管理の位相 / 2026年5月15日
- [4]LBSにフッ素オイルを注油しました。点検日和 / 2012年6月11日
- [5]LBSのヒューズが溶断していた場合、どうする?でんきメモ (memo-labo)
- [6]LBSラッチローラー注油後の状態(2年目)とある電気管理の位相 / 2025年5月6日
- [7]富士電機製LBSのラッチローラー洗浄とある電気管理の位相 / 2026年5月13日
- [8]LBSとGRの連動試験で開閉動作が遅れる現象でんきメモ (memo-labo)
- [9]エナジーサポート製LBS 接触部固着箇所ふき取りとある電気管理の位相 / 2025年11月21日
- [10]LBS相間バリアでんきメモ (memo-labo) / 2024年11月13日
- [11]GRとLBSの連動試験でトリップコイルが焼損する事故でんきメモ (memo-labo)