現場の記事から作った解説

継電器試験の電源にポータブル電源は使える?出力・設定と失敗例

公開 2026年9月29日出典 8件(うち動画 1本)サイト監修:本田電気管理事務所
結論

ポータブル電源を継電器試験器の電源にしている現場はあり、地絡継電器試験器やOCR試験器を動かして試験を終えた記録もあります[1][2]。一方で、ある技術者の記録では、OCR試験器(OGC-1V)の電源に1500WのDelta2を使うと瞬時要素が出せないため2000WのDelta2MAXに替えましたが、それでも瞬時出力は使えませんでした[3]。バッテリーは出力が不安定で瞬時の動作時間が遅れる、過負荷になると急に停止するという指摘もあり、予備にガソリン発電機を積んでいく人が多いとされています[4]。使うのであれば、出発前に周波数の設定と残量を確かめておくことが欠かせません[1][2]。

ポータブル電源でできた試験、できなかった試験

ある技術者の記録では、DELTA 2を電源にして過電流・地絡継電器試験装置とDGR用リレーテスタを動かし、サブ変電設備3か所でリレー試験を行っています[1]。PASのSOG制御箱試験では、RIVER2を使う予定でしたが、残量不足で使えなかったため、DELTA2で代わりに試験しています[2]。

うまくいかなかったのはOCRの瞬時要素です。同じ技術者は、1500WのDelta2では瞬時要素の試験ができないと前から分かっていたので2000WのDelta2MAXを試しましたが、それでも瞬時の出力は使えませんでした。記録では、この試験器には負荷をかけても出力が落ちにくい発電機を組み合わせるほうがよいかもしれない、と振り返っています[3]。

この記録からは、カタログに載っている定格出力の数字だけでは、瞬時要素の試験に使えるかどうかは判断できないと考えられます。手持ちの試験器と電源の組み合わせで一度試しておくと安心です。

周波数・電圧・波形:試験器をつなぐ前に確かめること

買ったばかりのEcoFlow DELTA 2を関東の現場で使う前に確かめたところ、出力周波数が60Hzのままになっていたという例があります。このときは、DELTA 2の場合の手順として、AC出力を切った状態でAC ON/OFFボタンを音が鳴るまで長押しして50Hzに切り替えてから試験に入っています[1]。切り替え方法は機種ごとに取扱説明書で確認してください。

DGR試験器の解説でも、試験器の電源には商用電源のほか発電機やポータブル電源が使えるとしたうえで、周波数の切り替えを誤ると特性が大きく変わり、試験結果を読み違えると注意しています[5]。キュービクルのブレーカーから電源をとる場合は、100Vであることを必ず確かめるよう書かれています。誤って200Vを入れると試験器が壊れることがあり、極性のある電源では極性も確認が必要です[5]。

一般に、ポータブル電源のAC出力には正弦波のものとそうでないものがあり、波形のひずみは試験器の出力にも影響し得ます。今回の資料には、波形の違いで結果を比べた現場の記録はありませんでした。試験器と電源の両方の取扱説明書で、対応している電源の条件を確かめてください。

現場の実例:何が起きて、どう対応したか

周波数の設定を直した後の2か所目で、OCR限時要素の最小動作値が3.5Aと出ました。整定3Aの管理範囲は2.7〜3.3Aなので、範囲を外れています。リレー側の電流表示を見ると、試験器の3.0A出力に対して2.6Aしか表示されていませんでした。そこでクランプメータで実際の電流を測り、試験器の出力のほうが正しいことを確かめています[1]。電源や試験器を疑う前に、別の計器で実電流を押さえておくと、原因の切り分けが早くなります。

別の日には、RIVER2の電源を入れたまま数日間車内に置いていたため、残量が2%になって使えませんでした。代わりにDELTA2を使い、中に溜まっていた埃は刷毛と電動エアダスターで掃除しています[2]。

OCRの瞬時要素については、先に書いたとおり、定格出力の大きい機種に替えても、この試験器では瞬時出力が使えませんでした[3]。瞬時要素を試験する日は、使う試験器で事前に動作を確かめるか、予備の電源を用意しておくと安心です。

ガソリン発電機との違いと使い分け

発電機とバッテリーを比べた記事では、発電機の利点として、出力が安定していて試験結果が乱れにくいこと、長時間続けて使えること、過負荷のときは音が変わるだけで止まりにくいことが挙げられています。欠点は、ガソリンに引火するおそれ、車内にこもる臭い、換気が悪い場所での一酸化炭素中毒の危険、重さです。重さについては、Honda 18iがガソリン満タンで約24kgとされています[4]。

バッテリー側の利点は、燃料が要らないこと、静かで試験に集中できること、地下でも延長コードを引き回さずに済むことです。欠点は、リチウムイオン電池の発火のおそれ、瞬時動作時間の遅れ、劣化による容量の目減り、長時間使ったときの発熱、過負荷での急な停止です。その結果、予備に発電機を持っていく人が多いとされています[4]。

満充電すれば数週間はもつという見方がある一方で[4]、電源を入れたまま車内に置いて数日で使えなくなった例もあります[2]。保管のしかたや機種によって状況は変わり、どちらに頼るかは現場や設備によって判断が分かれます。停電の範囲や試験電源の取り方は、現場の手順書と有資格者の判断に従ってください。

試験器にバッテリーを内蔵するという選択肢

外部の電源を持っていかずに済むよう、バッテリーを内蔵したリレー試験器を自作している技術者もいます。13台目まで作られたことが確認されていますが、販売はされていません[6][7]。校正を引き受けた技術者の記録では、一部の出力が判定基準を外れました。補正入力モードで誤差を入れ直して調整した後は、精度が良好になっています[7]。

得意・不得意も記録されています。RPRを0.4%(20mA)に整定した試験では7.6mAで動作してしまい、微小電流の試験には向かないという結果でした。動作時間の整定が2sの場合はうまく記録が残らず、時限の測定は別に行う必要がありました[6]。音センサーでトリップを検出するOCR連動試験では、瞬時の動作時間が500msと遅く出ました。トリップ線をつないで試験し直すと問題はありませんでした[8]。

DGRの全自動試験を流している間に接地抵抗を測り、あとで画面の記録を確認すれば作業の効率が上がりそうだ、という感想もあります[8]。内蔵バッテリー型も、外部電源を使う場合と同じく、校正と試験方法の確認は欠かせません。

現場で確かめること

  • ポータブル電源の出力周波数が地域の周波数と合っているか
  • 試験器側の周波数切替と入力電圧(100V)が合っているか
  • 前日までに満充電し、電源を切って保管しているか
  • OCR瞬時要素を試験する日は、使う試験器で動作を確かめたか、予備電源を用意したか
  • 出力波形と対応電源の条件を、試験器と電源の取扱説明書で確かめたか
  • 測定値が管理値を外れたとき、クランプメータで実電流を確かめたか

実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。

よくある質問

Q.EcoFlow DELTA2でOCRの瞬時要素の試験はできますか?

A.ある技術者の記録では、OCR試験器(OGC-1V)の電源として、1500WのDelta2では出せないと分かっていたため2000WのDelta2MAXを試しましたが、それでも瞬時の出力は使えませんでした[3]。バッテリーでは瞬時動作時間が遅れるという指摘もあり[4]、瞬時要素を試験する日は、使う試験器で事前に動作を確かめるか、予備の電源を用意しておくと安心です。

Q.ポータブル電源はどのくらいの容量があれば足りますか?

A.今回の資料に、必要な容量を数値で示した記録はありませんでした。満充電すれば数週間はもつという見方がある一方で[4]、電源を入れたまま車内に置いて数日で残量2%になった例もあります[2]。容量の大きさよりも、充電と保管の管理、そして瞬時要素に対応できる出力があるかのほうが問題になりやすいようです[2][3]。

Q.正弦波インバータでないと継電器試験器は使えませんか?

A.波形の違いで結果を比べた現場の記録は、今回の資料にはありませんでした。ただ、バッテリー電源は出力が不安定になりやすいという指摘があり[4]、試験器の解説でも電源条件の確認が重視されています[5]。試験器と電源の取扱説明書で、対応している出力波形を確かめてください。

Q.ポータブル電源と発電機はどちらを持っていくべきですか?

A.発電機は出力が安定していて、過負荷になっても音が変わるだけでバッテリーのように急に止まりにくい反面、燃料の引火や一酸化炭素中毒の危険があり、重さもあります[4]。バッテリーは静かで地下でも扱いやすいものの、急に停止することがあり、予備に発電機を持っていく人が多いとされています[4]。試験項目と現場の環境によって判断が分かれます。

Q.試験結果が管理値を外れたら、まず電源を疑うべきですか?

A.ある現場では、OCRの動作値が高く出たときにクランプメータで実電流を測り、試験器の出力が正しいことを確かめています[1]。試験器の周波数切替を誤ると特性が大きく変わるとされているので[5]、設定を確かめ、別の計器で実電流を測ってから原因を切り分けると確実です。

出典(このページのもとにした記事・動画)

本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。

  1. [1]過電流継電器 最小動作管理値不良?とある電気管理の位相 / 2025年3月27日
  2. [2]年次点検でリレー試験だけの請負とある電気管理の位相 / 2025年10月13日
  3. [3]富士電機VCB注油とリレー連動試験とある電気管理の位相 / 2025年6月19日
  4. [4]ガソリン発電機とポータブルバッテリーの違いでんきメモ (memo-labo)
  5. [5]方向性地絡継電器用試験器 GCR-miniぽんぽんタイガー(YouTube) / 2021年12月10日
  6. [6]自作バッテリー内蔵リレー試験器の校正とRPRお試し試験とある電気管理の位相 / 2026年1月27日
  7. [7]自作バッテリー内蔵リレー試験器の複数台校正試験受託とある電気管理の位相 / 2025年7月2日
  8. [8]自作バッテリー内蔵リレー試験器の校正預かりとついでに遊びとある電気管理の位相 / 2025年10月10日
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