現場の記事から作った解説

PCB絶縁油の処理|含有の確かめ方から採油・分析・処分まで

公開 2026年10月25日出典 15件サイト監修:本田電気管理事務所
結論

絶縁油にPCBが入っているかは、銘板と製造年で見当を付けたうえで、最後は分析で確かめます[1][2]。現場では停電に合わせて採油し、検体を分析会社へ送って結果を待ちます[3][4]。基準値を超えた機器に表示シールを貼り、電気関係報告規則に基づく設置等の届出をお客様に依頼した例があります[5]。そのうえで保管し、許可を持つ処理先へ処分を委託します[6][7]。

銘板と製造年でPCBの可能性を絞り込む

ある技術資料は、PCBを使った機器をメーカーごとの表示記号で整理しています[8]。変圧器では「不燃性油入」や「カネクロール油入」といった表記が手がかりです[8]。日立製は型式番号に「J」を含むかで見分けるなど、型式の文字で判別する例もあります[8]。

PCBの製造は1974年に中止されています[7]。ところが2002年に、PCB不使用のはずの絶縁油から微量のPCBが見つかりました[7]。その後の調査報告は、1989年以前の絶縁油を使う機器は混入を否定できないとしました[2]。別の解説では、油を交換できる変圧器などは1993年以前が対象です[7]。コンデンサや避雷器のような封じ切り機器は1990年以前とされています[7]。[2]は絶縁油の製造年、[7]は機器の製造時期で区切っており、基準が異なります[2][7]。該当するか迷う機器は分析で確かめます。

ある技術者は、米国製機器の銘板に「NO PCB」とあっても分析が必要だと説明しました[1]。理由は日米で基準が異なり、濃度を示す書類も無かったためです[1]。メーカーに問い合わせても、混入は否定できないという回答が返ることがあります[9]。

停電中の採油は機器の構造に合わせる

あるオフィスビルでは、施設を停電させて安全を確認してから採油を始めました[4]。30kVAの変圧器は固定ネジを緩めて蓋を外し、スポイトで油を取っています[4]。長年使った変圧器は内外の気圧差で蓋が張り付き、すぐには外れませんでした[4]。担当者は力任せにせず、ドライバーで隙間をわずかにこじって空気を入れました[4]。75kVAの変圧器には採油用の蓋があり、2台の作業は25〜30分ほどで終わりました[4]。

別の技術者は年次点検に合わせて、変圧器やOCBなど計15台から採油しました[3]。メーカーはOCBのドレンプラグからの採油を案内していました[3]。技術者はパッキンの劣化や異物の噛み込みを心配し、タンクを下げる方法を選びました[3]。タンク下部に自動車用ジャッキを当て、ボルトを緩めて隙間からスポイトで採っています[3]。リアクトルは注油口から採油しました[3]。

一般に、採油の前には停電範囲の確認や検電と接地が欠かせません。具体的な手順は現場の手順書に沿い、有資格者の判断で進めてください。

現場例:進相コンデンサの採油で起きたこと

コンデンサは封印の方式によって、採油に使う道具と手順が変わります[10]。ある資料は碍子トップ封印栓と上蓋部封印栓、上蓋の半田付封印の3方式を挙げています[10]。穴を開ける方式では、3.2mmのドリルで封印孔を開けてスポイトや注射器で吸います[10]。使用直後は油が温まって膨張しているため、穴あけで噴き出すおそれがあります[10]。

ある技術者は、交換工事で外したニチコン製30kvar、1991年製のコンデンサから採油しました[11]。形状が事前に分からず、考えられる方式すべてに備えた道具を持って臨みました[11]。ブッシング付近に封入口は無く、碍子上の端子下の円盤を外すとネジが現れました[11]。

ネジは固く締まっており、なめたネジ用のドライバーでは溝に合わず回りませんでした[11]。そこで技術者はタガネとハンマーで溝を深くし、ショックドライバーで緩めています[11]。封入口は3相のうち2か所にあり、圧力を分散させるため2人で同時に抜きました[11]。油は口の周りに広がる程度で、噴き出しはありませんでした[11]。作業前にはプラ箱と吸着マットを使い、本体をテープで囲む養生をしていました[11]。

低圧進相コンデンサでは、絶縁油がグリス状で採りにくかった記録があります[12]。別の記録では、グリス状の油は温めないと採れず手間がかかると述べています[13]。この例の採油瓶は10ccで、説明書は瓶の半分ほど入れるよう求めていました[13]。

採油穴の封止と分析の依頼

開けた穴の封じ方は、技術者によって違います[10][3][1][12]。ある資料はM4のタップを立て、接着剤やゴムパッキン付きのネジで閉じる方法を示しています[10]。別の技術者はタッピングビスで封印し、VCSからの電線を外して回路から切り離しました[3]。アルミの厚いケースに3.5mmの穴を開け、シーリングビスで封じた例もあります[1]。シーリングビスの例では1か所1〜2秒で締まり、樹脂の塗布は省きました[1]。

ある技術者は、識別用のマークと記名したビニール袋を前もって用意していました[1]。年次点検の例では検体を当日中に発送し、週内に結果が出る見込みでした[3]。一方で依頼が増え、速報まで10日ほど(稼働日で8日)かかった時期もあります[12]。その分析会社は、料金が上がる特急での分析も受け付けていました[12]。

基準値を超えたときの表示と届出

ある事業場では、1976年製のOCB3台から基準値をわずかに超える微量PCBが出ました[5]。OCBは処理期限までに処理する予定で、当面は電路につないで使っています[5]。技術者は他の機器と区別するため、本体に微量PCB含有機器のシールを貼りました[5]。シールには型式や製造番号のほか、採油日と検出値、報告書番号も書いています[5]。

技術者はお客様に、電気関係報告規則に基づく設置等の届出を出すよう依頼しました[5]。ある自治体向けの資料では、使用中のPCB製品が見つかれば使用届出を出すとしています[14]。取り外して保管するときは保管届出と、特別管理産業廃棄物管理責任者の設置が必要です[14]。

保管から処理委託までの流れ

PCB廃棄物は、特別管理産業廃棄物の保管基準に沿って保管します[6]。機器や容器にラベルを貼り、保管場所には縦横60cm以上の掲示を出す例が示されています[6]。保管中は定期的に点検し、記録を処理完了まで残します[2]。絶縁油が多いと消防法の基準もかかるため、資料は所轄消防署への確認を勧めています[2]。

ある技術者は、古い低圧コンデンサをみなしPCB汚染廃棄物として保管する準備をしました[9]。コンデンサは密閉できるペール缶に入れ、取扱注意のシールを貼っています[9]。缶には内容物のリストや写真、メーカー見解書を添えました[9]。

低濃度PCB廃棄物は、許可を持つ民間の処理業者でも処分できます[7]。[7]では、高濃度PCB廃棄物はJESCOの全国5か所の施設でしか処理できないとされています[7]。同じ資料は、北海道(室蘭)・東京事業エリアの処分期限を2023年3月31日と示していました[7]。今になって高濃度PCB機器が見つかった場合は、すぐに都道府県や政令市の担当窓口に相談してください。収集運搬は処分と別に委託契約が必要です[7]。委託先には内容物の性状や量の情報を伝えます[2]。2026年5月の記録では、低濃度の処分期限を翌年3月31日としていました[15]。

現場で確かめること

  • 銘板のメーカー名と型式、製造年を控えたか
  • コンデンサの封印方式と必要な工具を把握したか
  • 停電範囲と作業手順を手順書と有資格者で確認したか
  • 油の噴き出しに備えた養生と吸着材を用意したか
  • 検体の識別表示と袋への記名を準備したか
  • 採油穴の封止方法と回路からの切り離しを決めたか

実際の作業は、各事業場の保安規程・作業手順書と、有資格者の判断に従ってください。

よくある質問

Q.銘板に「NO PCB」とあれば分析しなくてよいですか?

A.ある技術者は、米国製機器のNO PCB表示でも分析が必要だと説明しました[1]。日米で基準が異なり、濃度を示す書類も無かったためです[1]。メーカーも、混入は否定できないと答えることがあります[9]。

Q.PCB分析の結果はどのくらいで分かりますか?

A.年次点検の例では、当日発送で週内に結果が出る見込みでした[3]。依頼が集中した時期には、速報まで10日ほどかかった記録もあります[12]。その分析会社は、割高な特急での分析も受けていました[12]。

Q.通電中の機器から採油できますか?

A.資料の例では、施設の停電や年次点検に合わせて採油しています[3][4]。使用直後のコンデンサは油が膨張しており、穴を開けると噴き出すおそれがあります[10]。通電中の機器からの採油は感電の危険があるため行わず、停電させて検電・接地で安全を確認してから作業します。具体的な手順は、現場の手順書と有資格者の指示に従ってください。

Q.基準値を超えた機器はすぐ使えなくなりますか?

A.微量PCBが出たOCBを、処理期限までの予定で使い続けている例があります[5]。その例では本体に表示シールを貼りました[5]。あわせて、お客様に設置等の届出を依頼しています[5]。

Q.分析せずにPCB廃棄物として処分できますか?

A.海外製の低圧コンデンサが検査不能とされ、みなしPCB廃棄物として焼却した例があります[1]。メーカーの回答を受けて、みなしPCB汚染廃棄物として保管を選んだ事業者もいます[9]。

出典(このページのもとにした記事・動画)

本文の [番号] はこの一覧に対応しています。詳しい経緯や写真は、書いた技術者本人のサイトでお読みください。

  1. [1]外国製機器からPCB分析のため絶縁油採油しました。点検日和 / 2012年6月11日
  2. [2]微量PCB混入変圧器等の取扱い・管理佐近電気管理事務所
  3. [3]年次点検にてOCB絶縁油の採油Denkikanri3y's Blog / 2025年2月16日
  4. [4]大田区のオフィスビルでPCB含有検査の採油作業森電気管理事務所 / 2026年8月11日
  5. [5]微量PCB含有機器に表示シールを貼付けDenkikanri3y's Blog / 2025年5月6日
  6. [6]PCB機器の適正保管佐近電気管理事務所
  7. [7]PCB(ポリ塩化ビフェニル)とは?処分方法、低濃度と高濃度の違い、年代と見分け方でんきメモ (memo-labo)
  8. [8]PCB使用電気機器佐近電気管理事務所
  9. [9]微量PCB混入(可能性ある)低圧コンデンサー保管容器Denkikanri3y's Blog / 2025年2月23日
  10. [10]進相コンデンサ・零相電圧検出装置の封入油のPCB分析のための採油でんきメモ (memo-labo)
  11. [11]進相コンデンサ絶縁油PCB分析のための採油作業(ニチコン91年製)とある電気管理の位相 / 2025年8月29日
  12. [12]低圧進相コンデンサから採油しました。点検日和 / 2012年6月11日
  13. [13]低圧進相コンデンサから採油しました。点検日和 / 2012年6月11日
  14. [14]PCB機器届出佐近電気管理事務所
  15. [15]PCB分析のため絶縁油採油してきました。点検日和 / 2012年6月11日
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